⑮
その頃、ジンダーヌはちょうど降り積もった砂が夜明けとともに上空へ巻き上がる直前に
村の外れにある村長の家につくことができていた。
村長は高台に立ち並ぶ村の家とは違い谷の底にあり、
ちょうど隣村との境の道のわきに建っていた。
その為、家から村長の家に行くにはいくつもの坂を下る必要があったのだ。
だが砂が降り積もっている今なら座ってくだれるそりに乗って坂を滑りおりればすぐにつくことができるのだ。
ジンダーヌはそりを背中に担ぐと村長の家の前の木戸を叩いた。
しばらくすると木戸が開いて白髪交じりの男性が顔を出した。
「おや、ジンダーヌじゃなないか、こんなに早くどうしたんだ?」
「ああ、孫が昨夜嵐の中で都からきたらしい旅人を連れてきてな、しばらく意識がなかったんで
わしの家で休ませているんだが、連れがいるかと思ってな、何か情報が入っていないか聞きにきたんだが」
ジンダーヌがそういうと、家の中からバタバタと駆け出してくる音が響いた。
すると、慌てた様子で一人の男がジンダーヌの前に来て青ざめた様子で言った。
「もっもしかしてその旅人というのは金の髪をなさっていませんでしたか?」
「あっああ、確かにそうだ。それに立派な青い聖剣を持っておったな」
ジンダーヌがそういうとその男はへなへなとその場に崩れ落ちた。
「よかった~あの方に何かあったら俺の命もなかった。あの、すみません。すぐに俺をジルダス様の所に連れて行ってはくださいませんか? 意識がないのですよね。この村には医師か薬師はいないのでしょうか?」
すぐに立ち上がりジンダーヌに言ってくるその男にジンダーヌは音つくように諭すように言った。
「落ち着きなされ、今孫娘がお前さんの連れをみている。おそらくもう意識を取り戻している頃だろう。
外傷はなさそうだったから医者は必要ないじゃろう。それより、すぐに戻るのは無理じゃ、じきに突風がくる。砂が頭上に巻き上がるから、今外に行くのは危険じゃ」
「そうじゃお客人、まあ朝食でも食べて突風が収まるのを待ちなされ、昼前にはやむ。そうじゃジンダーヌもどうじゃ、どうせ何も食べていないんじゃろう。ランルーサはどうせ、ダーイすでに家にいるんじゃろから心配いらんじゃろ。今日は祭だからな」
笑いながらいう村長に、ジンダーヌも同意し、遠慮なく家の中へと入った。
中では収穫祭ということでここでも早朝にも関わらず、
既に家族総出で祭に出す料理の下準備が行われていたが、ジンダーヌは大歓迎された。
そうして突風が止むまでジンダーヌは村長の家で朝食を頂き、止んだところで、旅人を伴って今度は歩いて家に戻って行った。




