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「まったく、往生際が悪いんだから、今回はダーイも一緒じゃなきゃ意味ないのよね。まったくわかってないんだから。ねえ、あなた名前は? ここらじゃ見かけない人ね。都の人かしら? その髪と瞳の色はここらの人にはない色だもの。私の昔の髪と同じ色だわ」
ランルーサはテーブルにパンを三人分切り分け、
暖炉にジンダーヌに言われていた大きななべをかけると火をおこし、
まだランルーサの部屋の前で立ち尽くしている男の手を引っ張って、
暖炉のそばの椅子に促した。
そして自分も隣に座ると、笑顔でその男の顔を眺めながら返事を待った。
「あっ、申し遅れました。わたしはルザーナの都に住むジルダスと申します」
「へえ、ルザーナの都から来たの? ねえ都ってどんなところなの? 私まだ一度も行ったことないのよね。おじいが言っていたけどいろんな大きな建物がたくさんあって、人も物もあふれているんですってね」
「そうですね。確かに人も物もあふれていますね。それに比べてここは別世界のようです。神カーリが最後の地に選んだだけの事はありますね」
「最後の地?」
「あっいえなんでもありません」
ランルーサが聞き返すとジルダスと名乗った男は慌てたように手を横に振りごまかした。
「そっ、確かにここは素敵な場所だものね。私だっていつも思っているのよ。もしいつかこの地を離れなきゃいけない時が来たとしても、いつか自分の人生が終わる時が来たとしたら最後の居場所はここがいいなって思っているもの。ここは人間が生まれそして死を迎えるには最高の場所だもの。あっごめんなさい、旅の人にいってもわからないわよね。私はランルーサっていうの、さっきのは幼なじみのダーイよ。今おじいが村のおさのところに行っているからもしかしたら連れの人の消息がわかるかもしれないわ」
「ランルーサ…そう君がランルーサ」
「えっ? 私の事を知っているの?」
「あっいえ、お名前を以前何処かでお聞きしたことがあったような気がしたものですから。ですが、昨日少しですがこの村を拝見していてあなたのいう意味が少しわかるような気がいたしました。この場所は緑の恩恵であふれている」
ジルダスという男はランルーサをじっと見つめてから視線を暖炉の火に向けながら言った。
「でしょう。私この村が大好きなの。私の自慢の村なの。おじいもよくいってるわ。都には便利なものがたくさんあるけどここのように緑が無さ過ぎる。だから人も生気を失っているって。そうだわ、今夜泊まる宿が決まっていないんだったら、ここに泊まっていきなさいよ。狭い家だけどお連れの人と二人だけなら私の部屋で泊まればいいわ。二人ぐらいなら並んで寝れるわよ。私のことは気にしなくていいのよ、私はダーイの家に泊めてもらうから。祭りの夜は毎年ダーイや仲間達と明け方まで騒いでいていつもダーイの家でみんなごろ寝しているから、でも都の人はこんなおんぼろの家じゃあ眠れないかあ…」
「いいえ、昨夜は本当にぐっすり休ませていただきました。命を助けていただいた上にそこまでしていただくわけにはまいりませんので、自分はこれで失礼いたします」
ジルダスという旅人はそう言うとランルーサに頭をさげて、扉に向おうとした。それをみたランルーサはあわててジルダスの腕を掴んで引きとめた。
「待って、もうすぐ朝日が昇る頃だわ、夜が明けたらすぐ突風が吹くのよ。今出て行ったらまた昨日の二の舞になりかねないわ。おじいみたいにサレインの騎士じゃないかぎり危険よ。ここで待っていたらきっとお連れの人もくるわよ。村で起きたことはほとんど村長のところに情報が行くことになっているから。心配は無用よ。今日は収穫祭なの。せっかく都から来たんでしょ。楽しんでいってもらいたいのよ。それに都のあなたにも見てもらいたいわ。私達の村に伝わる伝説の唄を…少し付け加えているけど…」
ランルーサはそう言うと立ち上がりランルーサは水ががめから水をコップに注ぐとそのコップを
彼の前に差し出した。




