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ダーイがランルーサの部屋の中まで入り肩の砂袋を床に下ろすと、後ろから来たランルーサに向って聞き返した。
「なあランルーサ、こんなもの何に使うってんだ? また何かよからぬことを考えているんじゃないのか? 何度も言っているけど、俺を巻き込まないでくれよ。だいたい、いつもランルーサが機嫌よく何かを始めると大事になるんだからな。今年は大人しく収穫祭を楽しませてくれよな」
「何よそのいいかた、まるで私がいつもトラブルをおこしているみたいじゃない。心配しなくてもいいわよ。今年はアイリおば様の了解を得ているんですからね。あんたは私の言うとおりにしていればいいのよ。わかった。あの砂とこの衣装箱は朝トービを運ぶ途中広場の特設ステージの裏に運んでちょうだい。村長様には荷物があるからって許可をもらっているから今日の主役は私達二人がいただきよ」
「はあ? 主役ってどういうことだよ? 俺何も聞いてないぜ」
「そりゃそうよ、今言ったんだから」
「ランルーサ! お前何かたくらんでいるだろう。おっ俺は嫌だぜ」
「何よ、まだ何も言っていないでしょ」
「いやその顔は絶対よからぬことを考えている目だ、俺は絶対やらないからな! そうだ、俺かあちゃんにあの人のめし届けるように言われていたんだ。まっまた来るよ」
ダーイは何かを察知したのか後ろに後ずさりしながらあわてて扉に向おうとした。
「あっ、ダーイ待ちなさいよ、まだ、目を覚ましていないんだからまだいいわよ、それより私の話を聞きなさいよ」
逃げようとするダーイの服掴もうとした瞬間急に閉まっているはずの扉が開き二人はバランスを崩してその場に倒れ込んでしまった。
「いってえ…ランルーサ最近また太ったのか?」
「まあ、失礼ね」
ダーイの上に跨るような形で倒れこんでしまったランルーサは真っ赤になりながらダーイから降りるとまだ倒れ込んでいるダーイのお腹の辺りを思い切り叩いた。
ダーイは頭さすりながら起き上がり急に開いた扉に視線を向けると、そこには昨日助けた男が立っていた。その男は二人の姿をみて驚いているようだった。
「あらあなた気がついたのね。よかったわ。昨日は新月だったのよ、まさかしらずにあんな所にいたの? 私達が通りかからなかったら砂に埋もれて命が無かったわよ」
ランルーサは目の前に呆然と立ち尽くしている男に近付きながらいうと、その男は驚いた顔をしながら小さな声でささやいた。
「カーリ…ホルン?」
「えっ?今なんていっての?」
「あっ、いえなんでもございません。助けていただいてありがとうございました。わたしは旅の者でございます。連れと旅の途中、隣町で明日、この村で収穫祭が盛大に行われるとお聞きしたものですから、ぜひ拝見しようときたのですが、途中連れとはぐれてしまって、探しているうちに夜になってしまって」
「そう、この村の収穫祭は有名だもんね、毎年周辺のあちこちの村から大勢見学にくるのよ。一番のメインイベントは昼過ぎから始まるコンテストよ。村中の人が毎年いろんな格好に扮して広場に作られた野外ステージで歌や芝居を披露するのよ。実は私も毎年参加しているのよ。まだ一度も優勝したことがないんだけど、優勝すると、一年間、村の宝のザダルの塔の番人になれるのよ。すごい名誉なことなのよ。今年は私自信があるんだから。そうだわあなたも是非見て頂戴ね。それに、村中の人達が自分達で作った料理を広場で売るのよ。私の家でもトービの煮物を広場で振舞うのよ。おじいが作ったトービは最高なんだから。一番に売り切れちゃうのよ。今から煮込むからできあがったらあなたにも食べさせてあげるわ。そうだお腹すいているでしょ。ダーイ、アイリおば様にいってスープもらってきてくれない?」
「ああ、わかった。すぐ持ってくるよ。そうだ、もう一度いっとくぞ! コンテストには俺はぜったい出ないからな。でるならお前一人ででろよな」
ダーイはそう言うと急いで立ち上がると、部屋を出て行った。
ランルーサは男の横をすり抜けると、
髪を後ろに一つに束ねテーブルに朝食の用意を始めた。




