⑫
翌朝夜明け前ジンダーヌはそりの仕度をし、砂の積もった道を村の反対側にあるおさの家へと向って行った。
「さーて今日もいい天気になりそうね。そうだわ! いいことひらめいちゃった。そうよ、この砂を使えばいいんじゃない。まさにそのものだわ。そうと決まれば早くしなきゃ。砂をゴッソリ空へ持っていかれる前に袋に詰めておかなきゃ。いいタイミングで新月になったものだわ。昼の出し物にピッタリ! ふふふっ」
ランルーサはそう言うと、ジンダーヌの姿が見えなくなるのを確認してから、急いで家の中に戻り大きな布袋を持ってくると、その中に降り積もった砂をかき集め始めた。
「ふあ~、ルーサおはよう。おじいはもう行ったのか?」
「ええ、さっき行ったわ」
ランルーサはダーイに顔をあげることもせず一心に砂を袋に詰めていた。
「あの人意識は戻ったのかあ?」
「さっき部屋をのぞいたけどまだだったわ」
「ふ~ん、あの人どこからきたんだろうな…こんな村にいったいなんの用があってきたんだろうな。それも新月の日になんか…なあさっきから何してんだ?」
「みてわからない、砂を集めているのよ、早くしないと砂が空にあがっちゃうでしょ。あんたも手伝ってよ、コンテストの小道具に使うんだから」
「いいけどよ、そんな砂なんか何に使うんだ?」
「内緒よ! そんなことより早く手伝ってよ、あと一袋詰めるんだから」
ランルーサはそう言うともう一つの袋をダーイに突きつけながら言った。
ダーイはそれ以上は聞かず言われるまま袋に道に積もった砂をかき集め始めた。
暫くすると腰の辺りまでありそうな大きな布袋がいっぱいになったところでランルーサは砂がこぼれないようにそれをきつく結ぶと自分の部屋まで運ぶようにダーイに言った。
ダーイはいわれるままかなりの重さになっている砂袋を両肩に背負うと何も言わずにランルーサの家の中に持って入って行った。
「ふふふっ、これだけあれば木の葉の上でやるよりリアルな出来になりそうだわ。う~ん今日は忙しくなりそうね」
ランルーサは大きく伸びをしながらダーイに続いて家に入っていった。




