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88/131

88、音のない雨

雨の音がしなかった。

無音。

明鏡止水の域に達すると、雨の音も聞こえなくなるというが、これがそれかと剣豪ヤマトは思った。

音のしない雨の中、剣豪ヤマトは刀を構えていた。

一方、剣士アブラミはざあざあと雨の音を聞いていた。

「ええい。この雨の音がうっとうしいわい」

剣士アブラミはいう。

「それはお主がまだ未熟なゆえよ」

剣豪ヤマトが答える。

一閃。

勝ったのは、剣士アブラミの方だった。

雨の音がしないなんてのは、どこかおかしくなっていたに違いない。

雨の音がしないなんてのは、耳が遠くなっていたのだろうか。

それを明鏡止水の域とかいっちゃって、聞いてる方がおかしくなるというものだ。

雨はざあざあ降っていた。


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