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81、地下鉄の入口

 意外とわからないものなんだ。地下鉄の入口がどこにあるのかって。街の中のびっくりするような小さな隙間にあるなんてことが、よくあることなんだ。

 だって、きみとの待ち合わせが地下鉄の入口だっただろ。だから、おれは地下鉄の入口を探していたんだ。東海橋の駅の入口を。歩いたね。東海橋町の中を歩きまわりつづけた。電柱に書いてある住所だけが頼りだった。

 東海橋の駅の入口を、三時間は歩いて探していたんだ。だから、おれは知らなかったんだ。きみが電車を乗り継いで、八時間かけておれに会いに来てくれることなんて。

 おれは三ヶ月ぶりにきみに会うために手ごろな場所を待ち合わせの場所に選んだだけで、まさか、きみがこの三ヶ月の間に、おれと一緒の街に住んでいたきみが、400キロも離れた遠くの街に引っ越していたなんてことも知らなかったんだ。

 正直いうと、あきらめかけていた。おれは、三時間も地下鉄の入口を探して歩いていたから、きみはもうあきらめて、帰ってしまったんじゃないかと思っていた。

 それでも、もし、万が一だよ、もし、万が一、きみがまだ東海橋駅の地下鉄の入口で待ってたりするかもしれないだろ。だから、おれはあきらめずに、地下鉄の入口を探して歩いたんだ。だから、知らなかったんだよ。きみが新幹線に乗り遅れて、三時間も遅刻して、地下鉄を乗り継いで、東海橋の駅の入口に向かっているところだったなんて。自転車置き場の角を曲がって、ちょっと細めの道に入り、デパートの入口の隣を見たら、あったんだ。東海橋駅の地下鉄の入口が。

「待った?」

 おれが聞いたら、

「ううん、今来たところ」

 と、きみが答えた。それがとても、嬉しかったんだ。


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