73、サメの話をしようぜー
「サメの話をしようぜー」
ある男がいった。
それに答えて、へげぞはいった。
「OK、サメの話をしよう。
サメは人類の祖先だ。まず、これを知らなければ話にならない。両生類は、サメから進化した。いってみれば、我々人類は、サメなのだ。
さあ、サメを見てみよう。大きな口に大きな歯が生えそろっている。見るからに怖い。サメに近づいたり、サメに触れたりする度胸があなたにあるだろうか。
しかし、サメを恐れてはいけない。サメは人類の祖先なのだ。我々、人類は、サメの一種として、ホオジロザメにも負けない強さを持っていなければならない。でなければ、我々は、偉大なる祖先サメから退化したことになるではないか。
「サメなんて、怖くねえ」
当然だ。我々がサメなのだから。
だが、ここで、ひとつの謎が沸き起こる。強いはずのサメが、なぜ、住みづらい陸地に移動したのか。サメにとって、陸地など、地獄ではないのか。
サメは、もっと強い魚に追われ、海から逃げたのか。
それとも、サメは、まだ見ぬ陸地を探検に行った冒険者か。
強いはずのサメは、死の土地である陸地へ逃げ、進化し、そして、何度も海へ帰っていった。ペンギン、アザラシ、クジラ、人類だ。
我々の祖先は、海を追われた負け犬か。我々は負け犬の子孫なのか。吠える。この疑問にとらわれ、わたしは海に吠える。サメはみずからの意志で陸地へ上がったのか。それとも、陸地へ逃げてきたのか。
サメの話をしよう。
きみは実はサメだ。海の王者だ。
さて、どうする? 海を追われた復讐をするべきじゃないかね。
きみはサメとタイマン張って、勝てて当たり前なんだよ」
この話は近所で噂になった。
「聞いた、奥さん。サメって人類の祖先なんですって」
「あら、それはまちがいですわ。人類の祖先は硬骨魚類で、軟骨魚類であるサメはまったく人類の祖先にはなりませんよ」
「ええ、それじゃあ、へげぞさんは何をいっていたんでしょう」
「さあ、危ない人ですから。ひそひそ」
「そうですわね。ひそひそ」
へげぞが後日、調べたところ、サメは人類の祖先ではなかった。まったく、残念なことである。
※本気で、サメを人類の祖先と勘ちがいしていた作者の恥ずかしい話。




