71、とりかえ子
十五年前、人と魔族の間でとりかえ子が行われた。
人の子を魔族のものに、魔族の子を人のものに、交換された。
そして、子供たちは育ち、運命に引き寄せられる。
魔族の子は、アロンといった。人の村につながれて育ち、隣村を攻めるのに使われた。アロンは頭に反乱防止用の制御装置を付けられていた。アロンが逆らうたびに、制御装置がアロンを痛めつけた。
「いつか、この村の者どもも皆殺してやる」
アロンがぶちまけると、制御装置が頭に痛みを送った。
「ふう、ふう」
「アロン、わしらはお前の親じゃ。わしらのために働くのが当然のさだめじゃ」
「リンネって、誰だ? いつも噂で聞く。お前ら、リンネを助けたいんだろ」
「その話をしてはならん。リンネはわしの娘ではない。すでに死んでいるかもしれん」
「どこにいるんだ。いえよ。どうせ、おれが戦うんだろ」
「いえん。絶対にな」
「なるほど。魔界か」
「なんじゃと。なぜ、わかった」
「最近、人の心が読めるようになったんでな。リンネとは、誰だ。どんなやつだ」
「いえん」
「なるほど。おれの代わりに魔族のもらい子になったやつか。てことは、そいつは、おれの本当の父親のもとにいるわけだな」
「魔界に関わってはならん」
「行くぞ、魔界へ。父親もリンネもぶち殺してやる」
制御装置が激痛を送った。
「無理じゃよ」
村人がいった。
人の子は、リンネといった。魔族の長の魔術の触媒として育ったため、薬物の入った瓶の中で育った。
「リンネは貴重な魔術の触媒だ。手を出すことは許さん」
魔族の長バイアロンはいった。
十五年後。
「今晩、融合の魔術を行う。余とバイグロンの融合を行う。リンネを瓶から出せ」
よく成長した純粋な人であるリンネが絨毯の上に立った。
「行け、融合だ」
ゴロゴロゴロっと大きな音がなったが、バチバチバチと並んでいる機械が壊れた。
「なんということだ。融合は失敗だ。十五年の積み重ねが。我が子の代わりが」
リンネは走った。
「リンネを逃がすな。追え」
リンネは魔族の屋敷から逃げることに成功した。薬液で凝縮された栄養が、魔法を使えるようにしていた。
「行こう。わたしの本当の村へ」
リンネは故郷の村に帰った。そこには、鎖につながれた魔族の子がいた。
「お前、おれの代わり子か?」
アロンが聞いた。
「そうよ。ちょっと待って。逃がしてあげるわ」
「おい、おれは逃げないぞ。この村の連中を皆殺しにするんだ。それから、おれの親も」
リンネは驚いて、黙った。
アロンは村人を皆殺しにした。そして、二人で、魔界に帰った。
「会いたかったぜ、親父。よくもおれを人の奴隷にしたな」
「逆らうな。魔族の長の命令は絶対だ」
「うるせい」
アロンとリンネは見事、バイアロンを倒した。めでたし、めでたし。




