68、未来の大富豪
心を読む機械が完成した未来。
ジロは、自分が見つけた財宝を、自分の知らない場所に送りつづけた。
心を読まれてしまうため、ジロは自分の見つけた財宝を、敵にすぐに奪われてしまうのだ。敵に財宝を奪われなくするためには、自分の知らない場所に財宝を送るしかない。
「というわけで、おれは大富豪なんだ。この世界のどこかに、おれの所有する財宝が存在する。支払いは、その財宝で行う。しかし、その財宝がどこにあるのか、おれは知らない。だから、おれの支払いは、おれの知らない場所にある財宝から受けとってくれ」
「いいんですか? あなたがそれがどこにあるのか知らないといっても、それはあなたの財宝でしょう。それをわたしたちがもっていってもいいんですか? わたしたちが悪さをして、あなたから何十倍のお金を騙しとったとしても、あなたにはわからないじゃないですか」
そういわれて、おれは困ってしまった。
「そこはそれ。警察がうまくおれの財宝を守ってくれるんじゃないかな」
「なるほど。かしこまりました。あなたの財宝から、あなたのホテルの宿泊代をいただくといたしましょう」
これはおれには知らされない事実だったが、おれの名義でこの国のとある丘の上に山のように財宝が積まれているのは有名な話だったのだ。おれ以外のやつはみんな、おれの財宝のことを知っていたのさ。だから、おれの宿泊代はそこから支払われた。ホテルはおれを騙したりはしなかった。
「あなたはいつになったら、見ることができるのでしょうね。あの山のように積まれた財宝を。あなたが億万長者である証なのですがね。あれを見つければ、あなたはもっと贅沢するように暮らしを変えることはまちがいないでしょう。それほどの莫大な財宝です」
「ああ、だが、おれだけはその存在を知るわけにはいかないんだ。おれの心を読んでいる敵が、おれから財宝を奪いとろうとするのでね」
未来の大富豪は、こんな感じである。




