65、答えを出せ
「考えろ。考えろ。考えるんだ」
「わかんないです。わかんないです。わかんないです」
義博は考えさせられていた。何を考えていたかというと『答えを出せ』という問題について考えていたのだ。答えを出せ、というのだから、何か答えなければならない。しかし、考える材料が他に何も存在しないのだ。
果たして、いったい何を答えろというのだろうか。答えを出せ、という問題の答えは、結論を出すのに条件が不足しています、というものではないだろうか。
いや、しかし、それは安直な考えかもしれなかった。答えを出せ、というのだから、答えを出さなければならない。答えられません、などと答えてはいけないのだ。つまり、これは、答えを出せ、という全体包括的な問いかけに対して、全体包括的な答えを出さなければならないのだろう。義博は、そして、全体包括的な答えを書き始めたのである。
つまり、それは、
「我々は虚無か存在かと問われれば、存在するのはまちがいないのであり、それは『我、思うゆえに我あり』という事実から明らかに証明される。そして、存在する我々は変化しており、苦痛を減らすように、文明を発達させている。だから、我々は、快楽と統計の示すとおりに変化しており、楽園を待望している。だから、答えを出せ、というのなら、答えよう。『しばし、待て』と。これがわたしの答えである。この問題の答えは、『しばし、待て』である」
これが、義博の答えだ。出題者は寝ていた。




