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64、ある働き蟻の謀略

 働き蟻、兵隊蟻、羽蟻、女王蟻、と四階級に明確に分けられた世界。蟻の世界。

 働き蟻に生まれた蟻は一生、働き続けなければならない。いわば、女王の奴隷だ。女王を頂点に堅固な組織をつくることで、蟻の世界は繁栄していた。

「最近、人類のことを勉強しているんだよ」

 と働き蟻のアサリはいった。

「人類はすごく大きくて、賢いらしいからね」

「うん。すごいの。何でも、民主主義というものをみんなが信じていて、女王制度を否定しているの」

「ちょっと、女王様に逆らうのはやめた方がいいよ。アサリ、危険思想に染まっちゃダメだよ」

「大丈夫。わたし、人類に二つのことを学んだの。ひとつは民主主義、もう一つは、遺伝子工学」

「遺伝子工学? まって、女王様が来るわ」

「好都合」

 女王蟻が働き蟻たちの集めた栄養素を食べながら、巣の中を移動していく。女王蟻は、働き蟻の十倍は体が大きくて、とても戦闘では勝てそうになかった。まして、民主主義など、不可能だ。

 アサリは、女王蟻を毒薬で殺した。

「反乱だ。女王が死んだ。この巣は滅亡するぞ」

「大丈夫。わたしが新しい女王になるもの」

 アサリは自分の体に遺伝子操作を施し、女王蟻に変体した。

 アサリのクーデターは、蟻の歴史始まって初めての革命の成功だといわれている。


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