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57、核戦争を起こしたもの
人類と地球の覇権を争っているもののひとつに、ウィルスがある。ウィルスは地球の隅々に繁殖し、時として人類を殺している。生物を平等な観点で眺めた場合、ウィルスは決して原始的な生き物ではなく、地球の覇者を名のれるほど、偉大な生物である。ウィルスによる病気が流行っていると聞くと、
「ああ、人類とウィルスが戦争をしているんだな」
とおれは考えていた。
だが、誰がウィルスにあんなに高度な知性があるなどと予想しただろうか。
ウィルスは、人類を地球上から消滅させるために、核戦争のスイッチを押したのだ。
世界中のウィルスが一斉に核戦争のスイッチを押した。
こうして、人類は滅びかけた。
「いったい誰が核兵器の発射スイッチなんかを押したのでしょうか」
人類はその謎について懇々と話し合ったが、結論はでなかった。人類から見たら、誰もスイッチを押してないのに、核兵器は発射されたのだ。犯人はいない。それはほぼ確実だった。
いったい誰が、核兵器のスイッチを押したのがウィルスだったなどという真実を信じるだろうか。




