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58、誘拐される姫さま

 ある所に、悪い悪い王様がいました。自分の領土も、他人の領土も、みんな自分の好きなように奪ってよいつもりでした。毎日、毎日、誰から財産を没収して殺そうかを相談しつづけている王様でした。王様は、自分の親も子供も平気で殺して、その財産を没収するのでした。まさに、自分のことしか考えていない王様でした。

 だから、その国のお姫さまはたいそう美しかったけれども、子供の頃から怖がりつづけて生きてきました。昨日、まさに、お姫さまを殺して、その財産を没収しようと王様が話を持ち出したばかりでした。お姫さまはどうやって、お城から逃げ出したらいいのか、良い案が浮かばないので、心痛していたのでした。

「わたしは死ぬ。今日か明日にでも殺されてしまう」

 お姫さまが殺されるかどうかの運命の日でした。

 場所は変わって、お城の外。心根は真っ直ぐだけど、行いが悪い少年マグリがいました。マグリは、お城に侵入して、お姫さまを誘拐しようと思っていたのでした。その日の夜、王様がお姫さまを殺そうとした日の夜、王様の手下に捕まる寸前のところに、マグリが現れました。

「くせ者が出たぞ。出あえ、出あえ。ものども、くせ者じゃあ」

 兵隊は怒声を上げました。

「さあ、こっちへ来るんだ、お姫さま。お城の外へついて来い」

 お姫さまは嬉しくて涙を流しました。

「ああ、わたしを助けてくれるのね。あなたは誰」

「義賊のマグリといえば、ちょっとは名の知れた悪党だよ」

「マグリ、わたしを連れて行って。お城の外へ」

 そして、マグリとお姫さまの逃避行は始まったのでした。


 お姫さまに逃げられた王様は、いらいらしていました。何でも、お姫さまは殺される前に誘拐されたとのことでした。王様は、お姫さまを探すように国中の警察に通達を出しました。

 しかし、マグリは大勢の兵を率いて、お城に帰ってきたのでした。お姫さまと結婚したマグリは、正統王位継承者でした。悪しき王を倒すと名のりをあげると、国中の兵隊がマグリに従いました。そのまま、マグリの軍はお城を占領して、悪い王様の首をはねました。

 こうして、心根は真っ直ぐだけど行いの悪いマグリは、お姫さまと幸せに暮らしました。


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