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36、二番目の魔術師

 この世界は、弱肉強食を掟とする進化の法則が支配している。弱肉強食の信者たちは生命を進化させた功績を称えられて、神から地球の支配権を授かっていた。殺し合い、食らい合う、それがこの地球の掟であった。その掟は神に証明された絶対の教えであったため、それに逆らうことは神に背くことだといわれた。

「これは戦争じゃない。進行中の進化なんだよ」

 とブルース・スターリングはいった。

 スターリングの計画に従って、人類は大きな戦争をくり返し、産んでは殺し、産んでは殺していた。この人類の歴史を眺めた神がいった。

「どうも、具合がよろしくない。弱肉強食では、生き物たちがあまり幸せではいられないようだ。賢者を集め、新しい掟を試案せよ」

 そして、ヒロクとアイナとギタンが生まれた。三人はばらばらに地上に産み落とされたが、運命に導かれて出会い、平和革命軍となった。平和革命軍は弱肉強食の時代を終わらせ、新しい時代を始めるために進化の法則と戦い始めた。

 ヒロクは<恐怖の眼>をもち、あらゆる生き物に恐怖を与え、怯えさせ、戦うことをやめさせることができた。ヒロクは<恐怖の眼>で襲いかかる敵たちを無傷で逃走させ、ヒロクは弱肉強食に負けることなく生きのびた。事実、ヒロクが殺した敵の数はゼロであり、ヒロクは世界中を<恐怖の眼>で睨み、怯えさせ、戦うことをやめさせることができた。

 アイナは<救いの風>を使い、苦しんでいるものから順に救っていくことができた。<救いの風>の動力源はみんなの力だった。こうして、アイナは、<救いの風>を使い、苦しんでいるものを世界からどんどんなくしていった。みんなは、一度はアイナに助けられたことがある者たちと、苦しんでいるものを助けることができて喜んでいるものとで満ち溢れた。

 ギタンは<最初に傷つく不死のもの>であった。世界で争いが起きた時、まず最初の傷をギタンが受けるのだった。世界で争いが起こるたびに、ギタンが傷ついて苦しんでいった。二度目の傷もやはり、ギタンが受けるのだった。ギタンは常に傷だらけでズタズタであった。ギタンが傷を受けるたびに、アイナは世界のどこかで苦しんでいるものがいることを知るのだった。ギタンを見て、アイナは<救いの風>を使った。ギタンは傷つきつづけ、世界中の争いの傷を受けて、のたうちまわっていた。ギタンは自分が傷つくたびに争いを止めるために現場へ走り回っていった。やがて、世界が終わるまで、ギタンは傷つきのたうちまわるはずであった。


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