35、最後に残るのは愚かな人型の集団だ
大学を不登校して、留年、中退。下宿先で、引きこもり。親を騙していられるのも今年まで。大学六年生になってるはずの七月だった。「就職活動はどう?」と親に電話で聞かれ、親からの仕送りが今年で止まることに気がついた。対人関係を築けない。コミュニケーション能力ゼロ。就職どころかバイトの面接もできないダメ人間だった。就職活動はいまだに一回もしたことがない。もう、二年の時点で単位が足らず、大学はすでに勝手に中退しているのだ。まともな就職などできるわけもない。だったら、高卒の就職を探せばいいのだが、どうしたらいいのかわからない。というか、人と会うのが嫌だ。一年間、他人と一言もことばを発していない。このまま、働かず、一生を過ごそう。そう思っていた時だった。目の前の問題を自分が解決できないことに振りまわされ、半ば自棄になり、引きこもったまま、自分より弱いものに八つ当たりを始めた。廃人となっていた。
何もできない。何もしない僕のもとに、一人の少女が現れた。
「あなたを救ってあげます」
びっくりするような美少女だった。
「その、あの」
ろくに答えもできない僕に彼女はいった。
「すべてお任せください」
そして、彼女の一人ご奉仕が始まった。部屋を片付け、料理を作り、デートに付き合い、僕の心に踏みこんできた。
「なんで、こんなことするんだよ」
八つ当たりする僕に彼女は答えた。
「わたしには計画があるんです」
夜、交わりを求めると、びっくりすることに彼女は平気で応じてくれた。僕は一日中、彼女を犯すようになった。犯すのに飽きると、眠っていた。日常業務はすべて彼女がしてくれた。
僕の気づかないうちに彼女が出かけていることがあったけど、何をしているのかあとをつけてみたら、僕と同じような引きこもりの男のご奉仕をしているみたいだった。
やがて、彼女が妊娠した。彼女は自分の貯金で堕胎した。僕には彼女が何を考えているのかわからなかった。
「計画が第二段階に入るんです」
彼女は親に思いっきりしかられ、学校の先生や警察などに注意をされているようだった。
「すべての人を救わなくちゃダメなんです。お任せください」
彼女はそう演説して街を歩きまわっているようだった。
「バカじゃないの、あなた」
彼女は街の人々にそういわれていた。僕らにとっても、都合の良い玩具にすぎなかった。
「きみがいなくなったら、僕らは死んでしまうよ」
そう、彼女に告げた。
彼女が必死な声で答えた。
「そんなことになってしまう世の中がおかしいと思いませんか。あなたたちが死ななければならないような世の中がおかしいと思いませなか。こんな世の中は変えなくちゃいけないんです」
それを聞いた街の人々は、彼女を危険な革命家だとして恐れるようになった。札付きの悪、だと彼女はいわれた。
そして、そのまま、街の人々と喧嘩した彼女は殺されてしまった。
僕らは、もったいないことになったと思った、
あとで見つけた彼女の計画書には、『現代のイエスになる方法』と書かれた思索メモがあった。弱き者を救済したあと、罰せられて死亡する。それが彼女の計画だった。




