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34、二時下がりの始まり

 宇宙の時計が午後二時になるまで、あと一秒だった。

 空島博士が発明した光学ウィルス青色二号が、研究所の瓶を溶かして容器の外に溢れ出した。光学ウィルス青色二号はあらゆるものを青色に染めて増殖していく。青色の光が当たると、その物質も青色に輝きだし、青色の光に分解されていく。

 研究所が青色に輝いた。空島博士も青色に輝いていた。

「わしらはこの青色の中で生きているのかね」

 空島博士はいった。青色の光に分解されてもなお、人は生きつづけた。

 光学ウィルス青色二号は光の速さで隣の物質に衝突し、自分と同じ青色の光学ウィルスに変えていく。地上が青色に輝いた。空も海も山も家も、花も鳥も風も月も、青色に輝いていた。地球が青色に輝いた。

 八分後には、太陽が青色に輝きだした。

 地球を起点に宇宙の星々が青色に輝きだした。宇宙の星空が青色だった。

「いったい、何が起きているんだ。宇宙が滅びるのか」

「ちがいますよ。宇宙の時計の時刻が変わったんですよ。宇宙の二時下がりが始まるんです」

 宇宙の時計が二時を指す頃、宇宙全体が青く光り輝いた。


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