18、最も優れた弓
弓の神は最も優れた弓というものをつくることにした。
弓の神であるのだから、世界で最も優れた弓をもっていなければ格好がつかない。
それで、弓の神が最初につくった弓矢はものすごく威力の強くて、どんな壁も突き抜ける弓矢だった。
だが、弓の神は試しに鹿をうってみて、いった。
「これでは、わざわざ鹿の近くまで近づかなければ、鹿を射抜くことができない。こんな弓矢では面白くない」
それで、弓の神は次に、どんな遠くまでも届く弓矢をつくった。
その弓矢は、どんな遠くの鹿も正確に射抜き、命中させることができた。
新しい弓矢は次々と鹿に命中し、弓の神は面白がった。
だが、しばらくすると、矢をうちつくしてなくなってしまった。
「これでは、矢の数だけしか鹿を射抜くことができない。こんな弓矢では面白くない」
それで、弓の神は次に、矢のなくならない弓をつくった。
その弓は、弦を引っ張ると標的の体を切りとって引き寄せ、矢となし、弦を離すと同時に矢となった標的の体が飛んでいくというものだった。
これなら、何度、弓矢をうっても、矢がなくなることはない。
新しい弓で鹿を射ると、弦を引っ張った時点で鹿の肉が引きちぎれ、鹿は死ぬのだが、さらに、その後、弦に引っ付いた鹿の肉が弓の神が弦を離すと同時に発射され、すでに瀕死になった鹿にものすごい速度で命中し、貫通する。
この弓は、何度うっても矢がなくなることはなかった。
弓の神は上機嫌で満足し、この弓を最も優れた弓とした。




