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109、都会的な森

「ここは都会的な森だね。すごく、いろんな植物が生えている。それにまぎれて、動物たちがうごめいている。ぼくには、小さな音が絶え間なく聞こえるよ」

 そんなことをぼくがいったのは、大通りのコンビニの前だった。

「樹一本もなく、人工の住宅地がひしめいているわよ」

 風音がいった。

「家々は森の木のように、ぼくらは、森をさすらう獣のように」

「獣のようにどうするの」

「餌を探すのさ」

 それで、ぼくらはコンビニの中に入って、牛乳プリンを買った。外に出て、軽く食事をとる。

「ねえ、ぼくの部屋に来ないかい」

「なんで」

「ぼくの部屋は、都会的な森の洞窟になってるんだ」

 それで、風音はぼくの部屋に来た。

「わたし、狼なのかな」

「きみは狼だよ。毛なみがすごくそろってる」

「で、ここはどこなの」

「都会的な森だよ。きみを誘いに来たんだ。森の獣のようにね」

「森の獣のようね」

 それで、ぼくらはセックスをした。

「大丈夫かな。妊娠しちゃう」

「妊娠したら、毎日のようにセックスしよう。最後はおろせばいいさ。お金は払うよ」

 そして、ぼくらは毎日、ずっと肌と肌と合わせて、セックスしつづけた。人生の中で最高に幸せな時期だったと思う。


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