104、水舞い雑記
水でできたドレスを着るきみ。
いろんなところが、見えそうで見えない不思議なドレス。
「おれは、いじめとか、不平等とかが大嫌いなんだ」
「だって、あなたがいじめられてるじゃん」
ぐうの音も出ない。
「いや、そうじゃない。おれより酷い目にあってるやつらがいるんだ。なんとかしたいんだ」
「どうするの」
「ただ、嫌うだけだけど」
「ふうん」
「内緒だぞ。絶対に内緒だ」
おれは風音に念を押した。だが、風音は、ぽかんと知らん顔だ。
「でも、男子って、バカだよね。そうやって、男だけで争ってて、女の子のことに気づかないんだから」
「そんなこというけど、例えば、ブランドものにきゃあきゃあいってる女や、ジャニーズにきゃあきゃあいってる女なんて、付き合ってもこちらのこと見てくれないんじゃないかと不安になる。要するに、そんな女は、大嫌いだってことだ」
「うわあ、最悪。超ダサいよ、その考え」
「ダサくない。これが日本の真実なんだよ。バカとバカがすれちがいをつづけるのさ」
風音の水のドレスが舞う。やっぱり、見えそうで、見えない。
「じゃあ、わたしとセックスしよ。今日は大丈夫な日なの」
なんという展開だろうか。ぼくは優しく彼女に手を伸ばした。彼女の髪を触る。なでなでしてから、水でできたドレスを脱がそうとする。水でできたドレスは脱げないけど、ぼくの体は、彼女の素肌に触れた。このドレスの下は全裸なんだ。
ぼくは急いで自分の服を全部脱ぐ。
しばらくして、彼女はいった。
「終わってから聞く質問ですけど、わたしたちに愛はあったのでしょうか」
「だって、おまえ、初めてだったじゃんかよ」
「重要な問題なの。わたしって、あなたのことを好きなのかな?」
「その答えは、神さまが知っている」
「ええ、神さま頼り? すごく他人任せ」
「でも、嫌いじゃないだろ」
「うわ、最悪。嫌いじゃない程度の男に抱かれたくないわ」
「つまり、おれはきみのことが、いわせんな恥ずかしい」




