ep8 天国トランポリン!
この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。
「てん……」
声が震える。
「ごく!!!!!」
ベッドへダイブ。
どんっ!!
跳ねる。
さらに跳ねる。
もちろん強化魔法は忘れない。
身体強化。
衝撃吸収。
耐久強化。
回復強化。
運動補助。
用途。
ベッド遊び。
神話級魔法の無駄遣いである。
「ひゃっふぅぅぅぅぅうううう!!!!」
跳ぶ。
跳ぶ。
さらに跳ぶ。
「うひょぉぉぉぉおおおお!!!!」
最高だった。
当たり前だ。
全人類が夢見る。
ベッドで。
叫びながら。
トランポリン。
最高である。
「ひゃぁぁぁぁああああ!!!!!」
年齢三十八歳。
精神年齢十一歳。
「ひゃっほー……」
「ゴホッ!!」
「ガハッ!!」
喉終了。
当たり前である。
数分間叫んでいた。
「がい゛ぶぐ……」
声が死んでいる。
しかし。
主人公は最強。
「ふん」
無詠唱。
最上級回復魔法。
対象。
喉。
原因。
叫びすぎ。
聖女が見たら泣く。
「ふぅ」
一瞬で完治。
「スッキリ」
何度でも言おう。
最高である。
ベッドへ寝転がる。
空。
雲。
風。
人。
いない。
超重要。
「はぁ~……」
幸せそうに呟く。
「どんだけ声出しても誰とも目が合わない」
感動。
「なんて至福♡」
完全勝利だった。
そう。
完全勝利だった。
その瞬間までは。
「汝……」
どこからか声。
主人公。
硬直。
「……」
「……」
「……」
声?
今。
声?
つまり。
人?
「汝……」
シュバッ!!
消えた。
神速。
歴代最速。
反応速度限界突破。
世界最強の逃走術。
◇
数秒後。
飛行島。
誰もいないはずの場所。
そこに一人。
古代天空都市を護る精霊王。
神代より存在する守護者。
人智を超えた存在。
その精霊王が。
呆然としていた。
「……」
「……」
「……なんなん?」
今まで見てきた。
勇者も。
魔王も。
竜王も。
神も。
しかし。
初対面で逃げられたのは初めてだった。
しかも。
会話開始二文字で二言。
「汝」
で逃げた。
何かしたか?
何もしてない。
名乗ろうとしただけである。
◇
一方。
主人公。
数百キロ離れた山奥。
木の陰。
ガタガタ震えていた。
「人いた……」
青ざめる。
「飛行島に人いた……」
ショック。
「嘘だろ……」
発見した理想郷。
誰もいない。
完璧。
そう思っていた。
なのに。
住人いた。
最悪である。
「引っ越そうかな……」
結論が早い。
◇
そしてその頃。
精霊王は王都へ降り立ち。
勇者達へ尋ねる。
「すまぬ」
「何でしょう?」
「飛行島にいたあの男は何者だ」
勇者。
遠い目。
「ああ」
納得した。
「会いましたか」
「会った」
精霊王頷く。
「会話しようとした」
「はい」
「逃げられた」
「ですよね」
全員頷く。
もはや世界的共通認識。
**世界最強のおじさんは、邪龍より会話の方が怖い。**
精霊王は理解できなかった。
しかし勇者達は理解していた。
「それが彼です」
「そういう生き物なんです」
もはや人ではなく希少生物扱いである。
お読み頂き、ありがとうございます。




