ep5 釣りは怖い!
この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。
「あ~」
宿屋。
ベッドの上。
胡坐をかく男が一人。
「最近……」
「飽きたな……休日」
寝る。
コーラ。
寝る。
肉。
寝る。
コーラ。
寝る。
散歩。
寝る。
コーラ。
寝る。
邪龍。
寝る。
「刺激が足りん」
世界中の人間が聞いたら殴りたくなる台詞だった。
「そうだ!」
主人公は立ち上がった。
「釣りだ!」
天啓である。
そして神速移動。
◇
大海原中央。
「ふむ」
水上歩行。
魔力具現化。
形態変化。
性質変化。
数秒。
「釣り竿はこんなもんでいいか」
神々ですら再現できない神器完成。
「エサは……」
周囲を見渡す。
ちょうどいい化け物を発見。
デスシーサーペント。
海域災害指定。
遭遇生還率2%。
勇者が見ても嫌な顔をする相手。
「よっ」
捕獲。
「うむ」
針に刺す。
「エサ良し」
デスシーサーペント君の尊厳終了。
ぽちゃん。
投げ込む。
待つ。
……
………………
…………………………
「飽きた」
早い。
圧倒的に早い。
すると。
ぐぐぐぐぐぐぐぐっ!!
竿が曲がった。
「ん?」
主人公の目が輝く。
「これは大物だな!!」
引く。
どばぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!
海が割れる。
巨大な影。
天空まで伸びる巨体。
エンシェント・シードラゴン・ロード。
古代海龍王。
神話級。
海の支配者。
一国滅亡案件。
「うっひょおおおおおお!!!!」
主人公大興奮。
「俺、天才!!」
「釣れた!!」
嬉しそう。
一方。
海龍王。
困惑。
「貴様は何者だ!?」
しゃべった。
主人公。
停止。
「……」
「……」
「……」
海龍王。
「答えよ!」
主人公。
「ひっ」
消えた。
神速逃走。
海龍王。
「は?」
主人公。
数百キロ先。
「こっっっっっわ!!!!」
心臓ばくばく。
「なんなんあいつ!?」
「しゃべったぞ!?」
「ドラゴンが!!!!」
完全パニック。
「無理無理無理無理!!」
「怖すぎるだろ!!!」
◇
部屋へ帰宅。
鍵確認。
窓確認。
ベッドへ潜る。
「はぁ……」
ようやく落ち着く。
「危なかった……」
本人視点。
恐怖体験。
◇
一方。
海龍王。
海上。
一人。
「……」
「何だったのだ?」
神話級存在が理解できない。
理解できないまま。
釣り針が口に刺さっていることに気付く。
「余を……」
「余を餌で釣ったのか?」
沈黙。
数千年生きてきた。
神とも戦った。
だが。
初めてだった。
自分より恐ろしい存在に遭遇したのは。
◇
その日のうちに。
海龍王は人前へ現れた。
勇者。
賢者。
剣聖。
全員集合。
「奴が現れた」
海龍王が震えながら語る。
勇者。
「やっぱり彼か……」
剣聖。
「またか」
賢者。
「今度は何をした」
聖女。
「いつも通りですわね」
海龍王。
「余を釣った」
全員。
「え?」
◇
その頃。
主人公。
コーラを飲みながら呟く。
「釣りって危険だな……」
二度とやるまい。
そう固く誓った。
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