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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
最後の大樹へ

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飢えるウェンディゴ

朝から雪山へ戻り、ベードが再び下り始める。

四刻ほど進むとすぐにレイトが魔物の気配を捉え、やがてリュクスのソナーエリアの範囲に入る。


「なんというか、変な気配だね。」


『そうだな。二足歩行だが、かなり獣に近い。』


「近づいて識別してみたいかな。」


『了解です!』


以前出会ったイエティも似た気配がしたが、今回の魔物は非常に濃い獣の気配を纏う。

新たな魔物の縄張りに本格的に突入する前に、孤立した一匹に近づいた。


リュクスたちは、獲物を探し雪を踏みしめる魔物を捉える。

その姿はまさしく異様。

二足歩行だが、足は真っ黒なひずめの形状。

胴体はワインレッドで覆われ、まるで飢え細った人間のような姿だ。

何より不気味なのは、頭がヘラジカの頭蓋骨そのもので、大きく広がった角を有する。

頭部から尾てい骨まで真っ直ぐに伸びる白い髪。

そこから伸びる長い尾も白い骨で、獣というよりもアンデッドかのような見た目だ。


----------

対象:スノーマウンテンウェンディゴ

雪山に住む人型の獣、ウェンディゴ

アンデッドに似た様相をみせるが、その性質はほぼ獣

日のある間は飢えるように放浪する

三本の鋭い爪で獲物を引き裂く

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頭蓋骨から覗く、魔物特有の赤黒い瞳が獲物を捕らえる。

鋭い三本爪が雪を引き裂くと、向こう側でも見た雪兎が紫の鮮血とともに跳ねあげられた。


「かなりアンデッドっぽいけど、こっちには気が付いてないみたいだね。」


『そうだな。余計なことをしなければ、気づかれることはないだろう。』


獲物にむさぼりつくウェンディゴの姿はまさしく獣。

邪魔でもして面倒ごとにならないように、リュクスはベードに指示し、すぐにその場を去った。


ウェンディゴは大体が二、三体で行動し、時折はぐれウェンディゴがいるが、互いに干渉しすぎず、共食いは起こらないようだ。

飢え細った見た目通り、食欲は旺盛で、雪兎を狩る気配をあちらこちらで確認する。


「そういえば、ワームのところでは雪兎はいなかったよね?」


『そうだな。生息域ではないのだろう。』


「じゃああいつらは何食べてたんだろうね?」


『知らん。どうでもいいだろ。』


「まぁ、それはそうなんだけどさ。」


餌鹿や餌牛のような聖族動物を糧とする魔物、他の魔獣を糧とする魔物、何を糧としているのかもわからないような魔物。

魔物の生態は未だに謎が多いが、リュクスたちが見つかれば、獲物か敵だと認識される。

もっとも、彼らの実力ならば、並大抵の相手は返り討ちだろう。

だが、魔物地帯は休憩もろくに取れない長旅になる。

消耗を抑えるため、ベードが気配を消し、休まず走り続ける。


夜になるとウェンディゴたちは放浪をやめ、ほとんどが雪の上で眠り始める。

稀に洞窟を使う個体もいるようで、はぐれの一体が崖にできた穴に入る。


しかし、そこは洞窟ミミックの口の中。

獲物を完全にとらえた瞬間、洞窟に見せかけた口を閉じる。

洞窟のような口がもごもごと少し動くと、あっけなく中に入ったウェンディゴの気配は消える。

洞窟ミミックは次の獲物を待つように口を開き、見事な洞窟が出来上がった。


「…イエティと違って、対処できないんだね。」


『あれは怪力頼みでこじ開けていたな。』


「というか、わかってないのかな?相手がミミックだってこと。」


『鈍い魔物なのかもしれんな。いや、それにしては兎狩りは完璧だったか…』


「見た目と言い能力と言い、ちぐはぐな魔物だね…」


リュクスのウェンディゴに対する評価が下がる。

初見こそ恐ろしい異形の見た目に驚いたが、今は気配通りのただの獣だと感じていた。


だが、ウェンディゴの縄張りはワームよりも広大で、雪山から雪原に差し掛かる麓付近まで続く。

そこはほかの魔物との縄張りの境で、新たな魔物とウェンディゴの争いが起きていた。


相手は全身真っ白な毛並みの狐。

普通の狐よりも体格は大きく、超大型犬かと思うほど。


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対象:スノーホワイトフォックス

雪原に住む白い狐

白い炎を操る能力を有する

群れで行動するが、統率力は低い

敵対する相手がいても、個々に戦ってしまう

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リュクスの識別通り、白狐たちは雪かと見間違う真っ白な炎をウェンディゴに放つ。

しかし、統率力は一切なく、各々が気ままに打ち放つため、ところによっては炎同士での相殺すら起きている。

それに比べて、ウェンディゴたちは二、三体で固まり、白い炎を爪で引き裂きながら狐に迫る。

戦い自体はウェンディゴのほうが優勢。しかし、数は圧倒的に白狐が優勢。

さらにウェンディゴたちは、仕留めた狐を見ると食欲が勝るのか食らいついてしまう。

そこを白い炎で包まれて倒されるという、なんともいえない戦いが繰り広げられていた。


「…これはひどい。」


『同感だ。さっさと進むぞ。』


『りょ、了解です!』


ベードは低俗な縄張り争いに巻き込まれぬようその場を過ぎ去り、あっというまに雪原へと到着する。

ここまでの斜面とは違い、平坦な雪になるが、ベードの速度は変わらない。


「うーん、本当に休めそうにないね。ベード、大丈夫?」


『問題ありません!』


『とはいえ、休める場所は見つけたいところだ。』


ウェンディゴの縄張りを何日も走り続けたかと思えば、今度は白狐の縄張り。

雪原のいたるところに群れる気配があり、視界にも捉えている。

向こうはリュクスたちに気づかないため、戦闘にこそならないが、休憩にベードから降りれば一斉に襲ってくるだろう。

グラドの無理に戦って周囲の白狐を蹴散らしてから帰るという案も却下され、結局雪原中も休むところを見つけられないまま旅が続いた。

ウェンディゴの見た目が想像しづらい方は「X」をご参照ください


https://x.com/Rexsel_Novel

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