表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
最後の大樹へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

389/413

雪潜のワーム

一日しっかりと自宅休憩したリュクスたちは、再び雪山山頂へと戻ってきていた。

周囲に魔物の気配は一切ないが、やはりグラドは東の果てを見つめる。

そんな中、ベードは皆を乗せ、南を目指し雪山を下り始めた。


一日半ほどは何もなく進んだが、レイトが片耳を持ち上げ、忌々しそうに雪を睨みつけた。


『面倒そうな魔物が居るな。ベード、絶対に足音を立てるなよ。』


『了解です!少し速度を落とします!』


「どうしたの?魔物の気配を感じたんだろうけど…」


『雪の下を進む魔物だ。アンフィスバエナを覚えているだろ?あれに似た気配の形をしている。』


「それは、厄介そうだね。」


アンフィスバエナは岩盤を進む魔物で、地表にいるベードの気配を見つけ襲ってきた相手だ。

似たような魔物なら、雪上を走るベードが見つかる可能性は高い。


「フレウを起こして、空から進む?」


『いや、やめておけ。あいつでもどこまで進めるかはわからん。襲われるとも限らないしな。』


「確かにそうだね。じゃあ気配にはいつも以上に気を付けるよ。」


『よろしくお願いします!』


いつもよりも姿勢を低くし、少し速度も下げ、一切雪音を鳴らさず、足跡すら残さず、ベードは走り進む。

そして、リュクスもソナーエリアで魔物を感知した。

その気配はとにかく巨大で、長い。

その時、突如雪が揺れ始める。


「やば!突き出てくる!」


『問題ない。こちらを狙っているわけではない。ベード、絶対に音を鳴らさぬよう、このまままっすぐ進め。』


『りょ、了解です!』


黒ずんだ雪の中からドゴンという音と共に顔を出したのは、巨大なムカデ型の魔物だった。

甲殻部分は真っ黒だが、腹部は真っ白。

頭部はより分厚い甲殻に覆われ、砕氷船の船首のような形状で、少し生物らしくない。

雪から半身しか出していないというのに、太く長い肉体はマンモスにも劣らないほどの巨体。

そして、巨大な口を少し開きながら、周囲を見渡していた。


----------

対象:スノーダイブワーム

雪に潜る巨大ムカデ

雪中にいる間は非常に音に敏感

些細な変化を感じ取ると地表に顔を出し辺りを見回す

しかし、目が付いていないためあまり意味はない

獲物には雪下より襲い掛かり、一口でほおばる

----------


「識別した。どうやらこっちには気づいてないけど、なんかあるとは感じてるみたい。」


『あの様子ではそうだろうな。このまま進めば問題ない。』


『はい。このまま進みます。』


ベードが気配を消しているので、普通にしゃべっても声など届かないが、それでも皆小声で会話を済ませる。

ある程度離れると、顔を出したワームは再び雪に潜り、どこかへと去っていった。


それ以降は誰も声を発さずワームの縄張りを超えていく。

ワームたちは群れることこそしていないが、雪下から時折顔をのぞかせ、そのたびにベードはより気配を殺す。

夜になってもワームの活動は続き、雪を踏む音もなく、沈黙は続く。

数こそ少なかったが、巨体のワームだからか、縄張り範囲は広く、昼夜を通して走り続け、四日ほどで縄張りを抜けた。


「もうワームの気配はないよね。どっかで休めればいいけど。」


『そうだな。一応、うぬの感知範囲には魔物の気配はない。少し危険かもしれないが、洞窟より帰還するべきだろう。』


「洞窟の場所はわかる?」


『無論だ。』


レイトの案内で洞窟まで進み、転移にて帰還する。

自宅でしっかりと昼食を取ったところで、リュクスとベードはレイトの忠告を受けていた。


『この先、雪原を超えるまで…いや、越えてもすぐには休めない可能性が高い。』


「え?そうなの?縄張りと縄張りの間は割と平気だったりするじゃん。」


魔物の縄張りの境というのは、魔物同士が干渉しすぎないように離れている傾向が多い。

今回もそのおかげで帰還地点を用意できたのだ。


『可能性の話だ。むろん、無理をすれば転移することはできるだろう。だが、向こうへ帰還したときに襲われれば、いくら己らと言えどひとたまりもない。』


「…それはそうかもしれないけど、それなら雪原に転移地点を作って、フレウで空から戻ればいいんじゃない?」


『それは無理だ。雪の上に作った場合、踏み荒らされれば転移地点が崩れるぞ。』


「…確かにそうだね。」


転移地点は通常の地表ならば、踏み荒らされたところで、崩れたりはしない。

だが、雪の場合は地表そのものが崩れるため、転移地点が共に崩壊する恐れがある。


『残念だが、己の勘は当たりやすい。あの場所は問題ないだろうが、いつもより休めないと思って、しっかり休息しておけ。』


『それで俺も呼ばれたんですね。問題ありません。走るだけなら十日は進めます!』


「心強いね。最悪、ベードに任せて僕は途中で眠るよ。」


『…そうだな。それがいいのかもしれん。』


なぜか遠い目で天井を見つめるレイトに、リュクスは疑問をぶつける。


「それにしても急だね。今までこんな予想とかなかったじゃん。」


『己も昼食中に突如漠然と出てきた予想だ。だが、こういったことはお前と会う以前はよくあった。その予想は大体が的中したわけだがな…』


「な、なるほどね。」


リュクスはレイトの種族名に運命の輪を冠することを思い出す。

フロストドラゴンという雪山最大の脅威を超えても、一筋縄ではいかない旅が続くだろうという予想に、リュクスは小さく息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ