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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
最後の大樹へ

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山頂までの道中

リュクスたちは洞窟を出て再び雪山を進むと、しばらくして雪女たちの気配を感じ取る。

アンデッド特有の生者を感知する性質によって、気配を消しているはずのベードに接近してきた。


その数は三体。

黒ずんだ雪景色の中に揺らめき、クスクスと笑うような声を発していた。


「厄介だね。一体でも面倒だったのに。」


『問題あるまい。ネティス、モイザ。左の一体に魔法を集中させろ。凍てつく息を吐く間は動けないようだからな。』


『了解です。』


『りょーかーい!』


二匹が左の雪女へ視線を向けた。


うぬとグラドは一体ずつだ。お前が右をやれ。』


『ぬぅ、われが抑える役か。仕方あるまい。』


レイトが中央、グラドが右の雪女を睨みつけた。


『リュクス、お前が順に仕留めろ。一番に狙うのはグラドのところだ。己の相手は最後でいい。』


「了解。」


空間衝撃を雪女の体に転移で直接送り込む準備を整える。

雪女は素早い相手だ。ただ打ち込んでも避けられ、対処されやすくなってしまうだろう。

だからこそのレイトの策。リュクスも理解し、できるだけ素早く三体を倒せるように集中を始める。


『レイトさん!俺は?』


『ベードは己らを乗せているのだ。いつでも退避できるようにしていろ。』


『りょ、了解です!』


『では、吾から行くぞ!』


グラドが飛び出すと同時に、雪女たちも三体そろってベードへと突進してくる。


『近寄らせません。メニーストーンランス!』


モイザの放った大量の石の槍先が飛んでいく。

だが、雪女は軽い吐息であっけなくすべて凍らせると、勢いの落ちた石の槍先は、砕けて雪に落ちる。

先ほどよりも雪女の突進の速さは収まったが、とても止められてはいない。


『手伝うよー!フロストランスレイン!』


さらにネティスの氷の槍先が降り注ぐ。

しかし、同属性の氷は、石よりも速く凍らせられる。

とはいえ、雪女も正面と空、どちらの魔法にも対処せざるを得ない状況に足を止めた。


『ブラックブレス!』


大きく息を吸い込んだグラドは、黒炎を吐き出し続け、雪女を足止めする。


『メニーサンダーランス。』


レイトはたった一匹で、モイザとネティスが放つ槍先よりも、さらに無数の雷の槍先を撃ちだす。

あまりの勢いに、むしろ雪女はブレスのように息を吐きながら後退してしまうほど。


「よし、狙いは定まった。トリプルディメンションインパクト、テレポート!」


リュクスが三連続で指を鳴らすと、音ごとに雪女がはじけ飛ぶ。

ほぼ三体そろって金切声を上げたため、非常にうるさかったが、終わればあっけない勝利である。


「な、なんとかなったね。」


『なんだ、今の技は。ゆっくり一体ずつ仕留めればいい物を。』


「え?だって一度見せたら他のやつに対処されちゃうかなって。」


リュクスの返答に、レイトは何とも言えない顔を見せるが、すぐに鼻息一つで表情を戻した。


『…まぁいい。よくやった。』


『さすがです、主!俺は出番ありませんでしたね。』


「そんなことないよ。ベードもありがと。」


飛び出したグラドを回収し、リュクスたちは再び雪山を進み始める。

道中、幾度か雪女と遭遇したが、多くても三体で、同じように倒していく。

日が暮れる前に洞窟へ避難し、自宅へ転移する。

そして朝になると、再び進み始めるのを繰り返した。


いつも以上に進みが遅かったが、四日目になると雪女が現れることがなくなった。

代わりに、昼頃まで山を進んだところで、レイトとグラドが軽く身を乗り出した。

同時にベードの足は止まり、ネティスとモイザもレイトたちと同じ方角を向く。


「え、何?みんなどうしたの?」


『まさか、本当にいるとはな。』


『言っただろ。吾も同族への感はあるようだ。』


「ドラゴンのことだよね。レイトも何か感じ取ったの?」


リュクスの疑問に、レイトは軽く首を横に振る。


『正確に気配を感じたわけではないが、縄張りに入ったことはわかる。』


「なるほどね…それで、このまま出会わずに山頂を超えるのは無理そう?」


『まぁ、向こうはこちらを感知しただろうな。吾らドラゴンというのは縄張り意識が高い。』


『グラドの言う通り、軽い殺気を感じた。このまま進めば、確実に阻まれるだろうな。』


「僕は感じなかったけど、野生の勘ってやつかな…」


リュクスもソナーエリアを広げているが、殺気は感じ取れなかった。

おそらく、魔物としての勘だけで、従魔たちが感じ取ったのだと理解する。


『いつ来てもおかしくはない。特にベード、常に警戒して進め。』


『了解です!』


雪山は山脈となり広く長く連なっている。

そのはるか遠くをベードは見つめつつ、山頂へと走っていく。

そして、山頂が見えてくるほどに近づくと、どこからともなく風を切る音が響く。

リュクスもさすがに気づく。皆が見つめる先から、薄青いドラゴンが飛んできていることに。


ベードが山頂に到着し足を止めると同時に、ドラゴンもその全身がしっかり捉えられるほどに接近していた。

全身が氷でできているかのような薄青い姿。

マンモスよりも大きい巨体は、タラスクを彷彿とさせる。

それなのに、薄く大きい翼で宙を浮き、侵入者であるリュクスたちを見下ろしていた。


----------

対象:フロストドラゴン

凍てつくドラゴン

冷気と氷を自在に操る

侵入者は容赦なく凍らせ排除する

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識別したが、内容は実にシンプル。

それだけに、リュクスは軽く息をのむ。

アルカナの名を冠してはいないが、脅威であることに変わりはないと。

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