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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
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マンモスの巨躯

夜の間はトロールの活動もなく、ベードが軽快に雪山を登っていく。


しかし、朝になると警戒を強め、雪兎を狙うトロールを避けて進む。


トロールは洞窟ミミックに気づかないほど鈍く、雪兎を見つけるのにも苦労している様子があちこちでうかがえた。

どの個体も群れる様子はなく、孤立しているので、独自に縄張りがあるのかもしれない。

とはいえ、やはりトロールは頭脳が低いのか、稀にかち合ってしまうようだ。

もっとも争いは起きず、片方が腕を上げると、もう片方は肩を下げて去っていく。


「何であっちが逃げてくんだろう?」


『おそらくだが、縄張りを犯した側があいつだからだろう。』


「あー、なるほどね。」


リュクスたちはそんなトロールの住む地域をその日の夜のうちに抜けたようで、すっかりトロールの気配は無くなる。

くわえて、朝になる頃には時折感じていた洞窟ミミックの気配も消え、山上からドシンドシンとかすかに足音が聞こえ始めた。


「え、これ、何の足音?」


『新たな魔物だ。でかいぞ。』


ベードの速度で少し雪山を進めば、すぐにその巨体を発見する。

その姿は、背の高さだけでもイエティの倍以上はある巨大な象。

いや、正しくは象ではない。

これまでの魔物と同じく真っ白な毛を纏い、象の長い鼻の左右には獲物を突き刺すがごとく弧を描く鋭い牙が生えていた。


「マンモスだ、あれ…にしても、でかすぎ。」


『でかいが、父様ほどではないな!』


『リュクス、識別は届くか?』


「いや、やっぱいつもより遠いからダメみたい。」


『ならば、もう少し接近します!』


タラスクの時同様、ベードは警戒を強め、背後より接近する。

歩くたびに揺れる太い尾っぽは、見た目こそ象そっくりだが、触れようものなら吹っ飛ばされるだろう。


----------

対象:スノーマウンテンマンモス

雪山を縄張りとするマンモス

巨体に見合わず小食で、雑食だが肉を好む

自慢の鼻と牙で雪をかき分け、獲物となる兎を狩る

毛皮は非常に頑丈で並大抵の攻撃は通さない

----------


リュクスが識別をかけると、マンモスは足を止めた。


「ベード!後退!」


『了解です!』


気づかれでもしたのかと、下がるようにベードに指示した。

しかし、マンモスはその場で強く踏みしめ直すと、雪に鼻と牙を突っ込む。

そして、すさまじい勢いで、空に向かって突き上げた。

宙を舞う大量の雪の中に、リュクスは息絶えた雪兎の気配を感じ取る。


「これが、マンモスの狩り…識別のイメージとは全然違うんだけど。」


『識別はできたか。他の情報は?』


「毛皮は頑丈で並大抵の攻撃は通らないらしいよ。」


『ほぉ!それは面白そうだな!』


「…グラド?」


『わ、わかっている!戦うとなるまでは我慢する。』


少し身を乗り出していたグラドだが、すぐに引っ込める。


そしてマンモスは打ち上げた雪兎に食らいつく。

その食事中に、リュクスたちはその場を後にした。


マンモスもイエティ同様、怪力自慢なことは見て分かった。

そもそも雪中にもかかわらず、歩くだけで地鳴りのような音を立てる相手だ。

リュクスの指示で、ベードは正面を横切ることすら避けながら、マンモスの縄張りを進んでいく。


「にしても、なんで洞窟ミミックの気配は消えたんだろう?洞窟自体はあるよね。」


『おそらく、獲物にできない巨体だからだろう。』


「あー確かに。」


いくら洞窟ミミックの口が広いとはいえ、マンモスの巨体は入らない。

普通の洞窟ならばもっと巨大なものができることもあるが、そういったものからは洞窟ミミックの気配は感じ取れなかった。

おそらく擬態できる範囲があるのだろうとリュクスも納得した。


『それにしても、足音が響きますね。』


「雪だから地響きは少ないだろうけど…ベードの足はしびれたりしてない?」


『確かに少し響いてきますが…問題ありません!』


マンモスたちは獲物となる雪兎を求めているのか、どの個体も歩き回っている。

イエティと同じく群れることはないようだが、個体ごとの縄張りもないようで、かち合ってもたがいに気にせず通り過ぎる。

リュクスたちからすると、二匹が同時に近くを通り過ぎる際は、より踏みしめる音が響く。

これが普通の大地であれば、その地響きだけで歩くのも困難だっただろう。


夜になると、マンモスたちの歩みは止まった。

しかし、寝ている気配はするものの、立ち尽くしたまま。

首や鼻、尻尾などすべて垂れ下がり安眠している。

おそらく、巨体ゆえに伏せるのが難しいのだろう。


『あの姿、まるで敵などいないと言っているかのようだ。殴ってやろうか。』


「ほんとやめて。群れてないけど、一体を相手にしたら、全部相手にする可能性もあるんだよ?」


『ぬぅ、確かに容易に狩れぬ相手だった場合、それは苦しくなるな。』


『生半可な攻撃を通さぬ毛皮とリュクスが言っただろう。相手にするのは得策ではないぞ。』


『わかっている。手は出さない。』


リュクスとレイトがやきもきするグラドをなだめる中、ベードは夜の雪山をさっそうと走り続ける。

マンモスの歩みの影響もあったのか、先ほどより心なしか速く進んでいった。

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