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ランダムに選ばれたのはテイマーでした  作者: レクセル
デモナの地

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371/419

黒ずんだ低木の地

砂漠の集落跡からすでに三日が経っていた。

二日ほどはアスプの縄張りで、スカラベの数も少なく、ほぼまっすぐ進めていたが、三日目はアスプの気配がなくなり、砂地一帯を埋め尽くすスカラベを避けながら進む場面が増える。


いつこの砂漠が終わるのだろうかと、スカラベを避けつつ進み続けていたリュクスたちだったが、さらに二日後、ようやく黒ずんだ砂漠の切れ目に到達した。


砂地から急に土の地面へと変わり、くっきりと地質の境界が引かれたような光景になっている。

今まで見てきた境とは明らかに異なり、自然に形成されたとは思えないほど不自然な地質変化だった。

特に岩盤地帯から砂漠地帯は徐々に変化していたので、そのあまりに明確な差に、リュクスは思わずベードの足を止めるほど違和感を覚えていた。


「なんか、今までの土地の境とは全然違うね。それに、奥は雑草まみれだし。」


奥には黒ずんだ雑草が生い茂る様子すら伺える。

ここまでの砂漠と比べると、同じ不毛の地とは思えないほどの変わりようだった。


『そんなことよりも、このあたりは魔物の気配がない。帰宅するならここがいいだろう。』


「そうだね。じゃあしっかり休もうか。」


地質の境に転移地点を作り、一日しっかり自宅で休息をとる。

そして翌日戻ってきたのだが、転移という大きな力を使ったにもかかわらず、魔物が寄ってくる気配は感じられなかった。


『まったく魔物が寄ってこないな。なぜだ?』


「寄ってこないに越したことはないけど、レイトは魔物の気配は感じてるの?」


『遠くにはまだスカラベの気配がするが、こちらに近づく気配はない。奥の土地にも魔物の気配をうっすらと感じるが、そちらも動く気配がないな。』


「…不穏な感じだね。ベード、気を付けていくよ。」


『了解です!』


ベードが走り出し、あっという間に雑草地帯へ入る。

今までも黒ずんだ雑草地帯はあったが、これほど密集し、地面を覆い尽くすような光景は初めてだった。


さらに進むと、低木すら生えていた。

今まで見た不毛の地の木々とは違い、しっかり枝葉が伸びている。

大きさはリュクスの身長の半分ほどしかない小さなもの。

人の手が入っていないはずなのに、不自然なほど整った球体状をしている。

そして、雑草と同じく、全体が黒ずんでいた。


「…黒ずんでるってことは、濁った魔素の影響を受けてるんだよね?」


『それこそ識別すればわかるだろ。』


「いや、それはそうなんだけど、不毛の地なのに変だなって思ったの。」


とはいえ、リュクスもすぐに低木に識別をかける。


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対象:ブラッケンドボックスウッド

黒ずんだツゲ

濁った魔素の影響を受け、樹木全体が黒ずんだ

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「…識別したけど、特に情報は得られなかったよ。」


『そうか。だがそれよりも、魔物の気配が近いぞ。』


「うん、僕も捉えた。なんか、この低木に似た姿をしてるね。」


魔物の気配を追って近づいたが、そこにあったのは、先ほど識別したものと同じ、黒ずんだ低木が一本立っているだけ。

だが、確実に魔物の気配はその低木から発せられていた。


----------

対象:ブラッケンドミスルトゥ

黒ずんだツゲに寄生し、乗っ取ったヤドリギ

ヤドリギは木を媒体とし成長する魔物

生物が近づくと突如蔦を伸ばし絡めとる

絡めとられると急激に魔素を奪われ、そのまま命を落とす

----------


「こ、こわ…目がないからこっちに気づいてるかどうかもわからないし。」


識別結果に少し身を引くリュクス。

その様子にレイトが目を細めた。


『どんな識別結果だったのだ?』


「あ。えっと、生物が近づくと蔦を伸ばして絡めとるんだって。そして、蔦に絡まれると、魔素を急激に奪われて死ぬみたい。」


『なるほど。だが、ベードは大丈夫だ。向こうがこちらに気が付いている気配はない。』


「え?そんなことまでわかるの?僕は全くわからないんだけど…」


『…お前は識別しても、こういう植物そのものの魔物は苦手か。』


なぜかにやりと笑みを浮かべるレイトに、リュクスは首を傾げた。


『俺の気配が見つかっていないのなら、このまま進みます!』


「うん、お願いね。」


気配を悟られなければ、ただ木が生えているだけ。

ベードがぶつかるようなミスをこともなく、どんどん進み続ける。


やがて点々と生えていた低木の密度が増え始め、ヤドリギの気配も増える。

とはいえ、リュクスの指示でヤドリギをしっかり避けて進むベード。

その走りは軽快で順調に西に進みつつ、夜を迎えた。


「なんか、いつもより月が暗い?」


本来、夜もそれなりに明るく、視界が効くのだが、この場所では月明かりすら弱々しく感じられた。

夜目が効くベードにはそれほど影響はないとはいえ、いつも以上に濁った魔素の気配が重苦しくなる。


『雲はない。土地の影響だろう。』


「土地の影響で暗くなるんだ…」


『詳しく言えば、濁った魔素の影響だ。ここは他よりも濃く蔓延している。』


「なるほどね。」


雲一つない月夜が淀むほど、濁った魔素の影響が濃いというのに、地上はむしろ植物が繁栄している。

風は一切なく、木々が揺れる音もない。

改めて、この土地が抱える異様さを、リュクスは肌で思い知らされていた。

とはいえ、ソナーエリアによってヤドリギを感知し、指示をベードに飛ばしつつ、夜も順調に進んでいった。

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