第11話 特別ゲームのあらまし
【アルベルト視点】
「スマンね、また来てしまったよ」
「……またいらっしゃったんですね」
またまたあの玉当て男のところに来た。
第三者から、よりリアル且つ公平な情報をもらおうと思ったからだ。
「……情報ねぇ、まあいいや、何が聞きてえってんですかい?」
「次の1年のまとめ役をゲームで決めるなんて、だいぶ穏健じゃないか。
私の記憶ではこの街の賭場はもっとヤバ気な雰囲気だったが、今はほとんどソレを感じない。その辺りから聞かせてくれないか」
「そうだね、おっしゃる通りだ。12〜13年ほど前はサマだらけのヤバい賭場ばっかだったよ。
普通の客はトンじまって、ゴト師同士の争い事もしょっちゅう、実入りは減る一方だった」
「ああ、それはマズイ。空腹で自分の足を食ってる状態だ」
「その通りだ。こんじゃマズいってみんなが薄々考え始めた時に、ふらっとあのヒトが現れた。
あのヒトは散々賭場荒らしまくったうえで顔役たちに勝負ふっかけたんだ」
「ほう、そのヒトは賭場を潰したかったのか?」
「いや、逆よ。あのヒトはこう言った。
普通の客こそ大切にするモンだ。自分が勝ったら、お前ら組合を作れ、そこでまとめ役を選んで、みんなで静かな商売をしろってさ。
そんで見事に勝ってよ、今があるってワケさ」
「へえ〜、それは大した御仁だ」
「ああ、そりゃあもう見事な打ちっぷりだったそうだ。だからこそみんなが心酔して、あのヒトを女王て呼んで、今でもその言いつけを守ってる。そんで毎年ココ来て、ゲーム提案してんだよ」
「なるほどね…。では、今年やるゲームはカードらしいが、毎年そうなのかい?」
「だいたいはカードだ。ただ一捻り入れてくるぜ」
「一捻り……?」
「そうさ、親対子のゲームを個人戦するとか、ヘンなルールくっつけるとかな。一筋縄じゃいかねえって話だ」
「ではあからさまなイカサマはあるのかな?」
「ソイツはねえな。“ガン付け”も“通し“もできねえように工夫されてる。女王はサマをゲームから排除してえみてえだ」
「ではカードさばきはどうだい?」
「ああ、そりゃあサマじゃねえ、技術だ。
技術は封じられねえよ。
だがよ、仕込みを入れても他の3人にシャッフルされたんじゃバラバラになっちまう。結局は何やるにしてもヒラでの勝負って事になるわな」
なるほど、カードに関する技術のみ認められているが、事実上はお互い牽制し合って封印状態と。
そうなると……
「ありがとう、参考になったよ。
君も観覧に来るんなら応援してくれるかい?」
こう問うと男は頭を振った。
「なに言ってんだよ、こんなチンケな賭場の人間が入れるわけねえだろが。
……まあ、ダンナの勝ちに張るくらいならしてやってもいいがな」
「……このゲームも賭けの対象なんだ……」
「当たり前だろ。ココはギャンブラーの街だぜ。自分たちの最大のゲームが賭けの対象にならねえわけねえだろうが。顔役たちだって自分の陣営に張ってらぁ」
なんとも拭いきれないギャンブラーの性か……。
私は男に微笑みかけ、最後のお願いをした。
「最後に悪いが頼みがある。聞いてもらえるかな」




