私は人間
学校終わり。私は相変わらずひなと四葉と駅まで歩いていた。この三人の間だけ異空間のようだ。うるさすぎて。うるさいまま駅に着いた。駅には思ったより人がいた。電車が来るのを今か今かと待っているようだ。すると何やら声がする
「あーー!四葉ー!!それにポン太ぁ!!」
舞花の声だ。先に駅についていたらしい。舞花と四葉は部活がおんなじで,美術部として日々はしゃいでいたのだった。
「舞花ー!Fooooooo!!」
「お,おい馬鹿っ!駅で走るなっ!いいことないって!」
私が言った声も意味なく,二人は正面衝突。美術部恒例の挨拶なのだろう。
「四葉ーーー!!」
見事に事故って二人は抱き合っていた。ひなはげらげらお腹を抱えていた。抱き合っている舞花と四葉の横に,舞花の友達「きーちゃん」がいた。眼鏡をかけていてさらっとしたボブヘアーがかわいらしい。いつも前向きで話すのが好きな子なのだろう。私はなぜだか,この子と知り合いだ。文化祭の時に流れでそこにいたからと言う理由で写真を撮るということになったからだった。私は相変わらず四葉に振り回されつつ,きーちゃんに声をかけた。
「きーちゃん!やっほ!」
「あ!やっほ!四葉が相変わらずフルスロットルで大変だねっ!マジこいつ最高よ!」
「ほんとだよ,ツッコミ役もう一人ほしいとこだ,良い人知らない?」
「うーん,きーの周り大体変な人ばっかだしなぁ,期待できないよ。」
「あー,,そっかぁ」
四葉と舞花はその横で何やら爆笑している。それを傍で眺めてただ腹を抱えるひなのポジションがこの上なくうらやましい。するときーちゃんは私の履いているスラックスを見て言う。
「……ポン太って……スカート履いてるイメージないよね……」
これはまぁ間違いない。普段私と四葉はスラックスだ。スカートを履いていない。しかしきーちゃんの言葉はそこで終わらなかった。
「……でも……ズボン履いてるイメージもないよね……。……あんた普段何履いてんの?」
「いやズボンで……」
そう言いかけた途端だった。舞花と四葉が介入してきた。
「わかるそれ。女の子なのか男の子なのか……なんか不思議なとこあるんよね……。」
舞花が納得しているようだった。私は少し困惑しているが,実は少し腑に落ちている部分もある。
そう思った瞬間だった。どうやっても腑に落ちない,四葉の爆弾発言が響く。
「あ,あれでしょう!!!『てけてけ』!!ポン太はてけてけだったんだ!」
「なわけあるかぁ!!!上半身しかない妖怪じゃねぇかそれぇ!!」
ひなはもう声が枯れてる。ひながこの話の中でセリフがない理由は笑いすぎているからだ。舞花と四葉もけっこう悲惨な状況だ。しかし不思議だ。そう思っている子がいたとは。
「え,私……,ズボン履いてるよね?」
「いやてけてけっしょ」
「ちゃうわっ!」
てけてけではない,絶対そうだ。それにしてもきーちゃんにはほんとに敵わない。普段はへらへらしている彼女だが,言うことは的を射ていることがあるのだ。私は正直性別のことを気にしたことがあんまりなく,どっちでもよかったのが本音だった。私はその場できーちゃんに話した。
「体つきは女だし,一応断っとくけど,私は人間だからね?てけてけじゃないからな?」
「えぇ!!!!」
四葉がガチで驚いている。
「てけてけに見えないだろっ!」
「いや見えるけどチガウの?」
「おまっ,わざと言ってるだろ!!w」
駅の雰囲気は全く淀んでいなかった。きーちゃんは踏み込んではいけない性別の領域に,こうも簡単に雰囲気崩さず踏み込めてしまうあたり,ほんと才能だと感じた。あと私はてけてけではない。人間だ。
はい!22話です。てけてけなわけがありませんね。結都はちゃんと人間です!さてさて新キャラの「きーちゃん」が登場しましたね。話している内容を要約すると「性別」なので,本来もっと重いはずなのですが,きーちゃんはすごいですね。天才です。こんな女子高生ほかにいないでしょうね。皆さんも,人間である自覚だけは持って,踏み外さずに,生きていきましょう!




