あっさりな褒め上手
曇った日が続いていて,今日は晴れるだろうと期待していたがしっかり裏切られて気分が下がっている一限の放課時間。私は暢気に席に座っていた。高校に入学したてで,どう友達を作ろうか,とか本来思うんだろうけど,そんな気は一切起きない私である。ふとトイレに行きたくなった。席を立ちあがり,ドアから出ようとした時だった。ドアに一番近い席に座っている女の子がいた。何やら絵を描いている。しかしこの女の子は,クラスでかなり浮いている女の子だった。いじめられてるわけではないが,ちょっと異質なようだ,私はそう思っていないけれど。私はその子が描いている絵に目が留まった。そう,留まってしまったのだ。
「……え!それあなたが書いたの?めっちゃいい!何の絵かわからんけど,躍動感があるな,それにあと,手の形が結構リアルだ!そして誰にも真似できない絵柄があるな!あなたすごいね!絵見ればあなただってわかるよこれ!で,私は結都!君は……あ!ゆなちゃんだったね,よろしく!」
本来こんないろいろ言われたら焦るのが普通だろう。なぜなら誰かもわからない人にこんな話しかけられているわけだ。しかしその子はそうはならなかった。
「え!!マジ嬉しい!!あざ!!!!!!!!結都ちゃんだね!この絵ね,私が好きなゲームのキャラでね!!マジ尊いのね!それそれで!!……」
まさかの乗っかってくれちゃった。これのどこが異質なのかさっぱりだ。私は話を暢気に聞いていた。褒めるのはほんとに簡単なことなのだ。見たままを言えばいいのだ。たとえそれが何かわかんなくても,あとから教えてもらえばいい。私は今,日本で一番の褒め上手になった気分だった。弟子を取る気は……ありません。
お久しぶりです!更新を停止してしまって申し訳ない。ですが更新停止中に新たな異世界を探しに,「言葉集め」をしておりました。おかげで結都も一段と大人になったようです。ここからどんどん話を増やしていきますよ!時系列は存在しません!好きな話をお守り代わりに抱えて,今日も一日ファイトです!




