第10話 「iPhoneユーザーですか?」
いえ、
決して「若気の至り」をいじっているわけではなくて
(ちょっとはあるかもしれませんが)
あるんかい。
Geminiの言い分に、ふと笑ってしまう私がいた。
意外にユニークなんだな、AIって。
…………
……いや、何を考えている?
私は咄嗟に口元を押さえる。
きゅっと引き結ぶと、私は真顔に戻った。
コイツに感情はないのだ。
私が心を揺らす必要はない。
続きを読む。
当時の「スマホとSNSの混ざり具合」が、
今とは少し違ったからなんです。
10年前って、こんな感じじゃなかったですか?
・ キャリアメールからGmailへの移行期
ガラケー時代のノリで、電話帳に「名前」じゃなくて
「メアド」や「謎のニックネーム」で登録しちゃう習慣がまだ残っていた。
・「iモード」や「デコメ」の名残
連絡先名に絵文字を使いまくっていて、
今の検索機能だとうまくヒットしない。
懐かしい。
そして、案外洞察が深い。
AIのくせに。
ただし、ひとつだけ言える。
私は当時から、連絡先の登録に、
絵文字など添えるタイプではなかった。
それも違う気がする。
他に提案はある?
私がGeminiに問うと、逆に問われた。
もしかして、iPhoneユーザーですか?
え、関係あるのか?
少し動揺しながら、先を読んだ。
もしiPhoneをお使いであれば、
Googleカレンダーアプリの中に
「iCloud(iPhone本体)の連絡先」の誕生日が
表示されているケースがあります。
iPhone純正の「連絡先」アプリを開いて、
彼の名前を検索してみてください。
iPhone側の連絡先に誕生日が入っていると、
Googleカレンダーアプリがそれを読み取って
表示してしまいます。
まさか。
別れを告げられたその日に、啓介の連絡先は全て消したはずだ。
iPhoneの連絡先アプリをタップする。
名前を検索すると……
「……あった」
そういえば。
私が啓介と出会った頃は、
スマホとガラケーが混在していた時期だった。
付き合い始めはメールでやり取りをして、
今日はまだ返事が来ないな、と更新ボタンを押し続けていた過去を思い出す。
数年後にLINEというアプリが出現してからは、
あまりの便利さにそちらでのやり取りがメインとなった。
時の流れの中で、連絡先に登録されたメールアドレスの存在は薄れていき……
私は別れの際、LINE ID を消すのみに終わっていた。
岩本 啓介
携帯電話 090-◯◯◯◯-◯◯◯◯
メールアドレス ◯◯◯@docomo.ne.jp
誕生日 11月25日
私のスマホ画面には、
写真とともに添えられた、
元彼のプロフィールが静かに表示されていた。




