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キッチンカーと巡る異世界グルメ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~  作者: k-ing☆孤独な王子①6/8発売
第三章

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84/86

84.料理人、相棒は誰だ

「でも本当に便利だよな……運搬役にもなれるのか」


 俺は転がる残りの魔鉱石を拾い集めていると、カエルはふんすと鼻息を鳴らした。


『拙者は泉守の聖蛙だからな!』

「温泉を溜め込んだり、鉱石を飲み込んだり、守るっていうか……まるで袋だな」

『ゲコッ!?』


 ショックだったのか、カエルの体がぶよんと揺れる。

 むしろ俺として褒め言葉のつもりだったんだけどな。


『そ、そんな便利袋みたいに……。拙者は由緒正しき聖蛙――』

「でも実際すごい便利だぞ。移動できる倉庫ってかなり助かるだろうし」

『うぐっ……』


 反論しようとしたカエルだったが、運搬役として優秀なのは自覚があるのか言葉に詰まっていた。


『オイラより便利だと思うぞ……』

「俺の方が便利だけどな」


 白玉とゼルフまでフォローになっているのか怪しい言葉を投げかける。

 俺は白玉を持ち抱え、体をもふもふし、ギュッとした。


「白玉は癒し枠だ」

『ハルト……』


 さっきからカエルに競っては落ち込んでいたからな。

 同じ〝聖〟がつく存在として、役割を探していたのだろう。


「なあなあ、俺は?」


 そういえば、ここにも競ってるやつがいたっけ。

 ゼルフは不安そうに俺を見ている。


「ゼルフは――相棒だろ」


 一瞬、ゼルフの目が丸くなった。


「お前はこの世界にきて、一番初めからずっと一緒に走り回ってきたからな」


 俺がそう言うと、ゼルフは数回瞬きをしたあと、照れ隠しみたいに鼻を擦った。


「へ、へへっ……そ、そうかよ」


 耳まで赤くなっている。

 分かりやすいやつだな。


『オイラもハルトの相棒だぞ!』

『拙者も今日から相棒だ!』

「なっ、お前ら! 俺が一番の相棒だ!」


 白玉とカエルにゼルフは押しつぶされていたが、それでも嬉しそうに笑っていた。


「そういえば、いつまでもカエルって呼ぶのも可哀想だよな」

『ゲコッ……?』


 俺がそう呟くと、カエルがぴくりと反応した。


「確かにハルトの相棒候補なのに、さすがに名前がないのはな……」

『オイラが名付けてあげるぞ!』

「なら俺も考えてやる」


 ゼルフと白玉はしばらく考えると、カエルに合った名前を口に出していく。


『ゲロ兵衛!』

『却下ゲコッ!』

「オンセン」

『安直すぎるゲコッ!?』

『ぷに丸!』

『間違ってはいないゲコッ……』

「じゃあ、いっそ袋蛙とか?」

『ゲコオオオオオ!』


 カエルはその度に全力でツッコミを入れている。

 というか、ノリが良すぎるなこいつ。

 ゼルフと白玉も真剣に考えることなく、思ったことを口にしているみたいだしな。

 ちょっとした大喜利だ。


「ちゃんと嫌な時は言わないとダメだぞ」

『じゃあ、何がいいゲコッ?』

「んー、ガマ口とかは?」


 俺の言葉にみんなはジーッと見つめてくる。


「さすがにないだろ」

『ハルト、ちゃんと考えた?』

『容易な考えゲコッ……』


 どうやら俺には名付けのセンスがないようだ。

 あっさり拒否されたな。


「やっぱりここは袋蛙だな」

『いやいや、ぷに丸だぞ!』


 このままだと本当に袋蛙かぷに丸になりそうだぞ。

 俺を見つめて助けを求められても困る。


「うーん……なんかこう、柔らかそうで可愛い感じがいいよな」


 せっかくなら白玉と似た名前の方がいい気がする。


「んー、中身がいっぱい……」


 キッチンカーの仲間なら、食べ物関係がいい。


「大福とかはどうだ? 古風な感じがするし」

『うむ! 今日から拙者は大福ゲコッ!』


 どうやら名前は決まったようだ。

 大福は得意げに胸を張る――いや、腹を張ると、その勢いで体がぽよんっと跳ねた。


『ふふん。これで拙者も正式な仲間ゲコッ!』


 名付けたら仲間になる仕組みらしい。

 そんな仕組みがあったことを俺は知らなかったぞ。


『オイラのことを先輩と呼ぶんだぞ!』

「それなら俺は師匠だな!」


 白玉の言うことは理解できるが、ゼルフは何の師匠になるつもりだ?

 ショートから先生と呼ばれていた時も、満更でもない顔をしていたからな。


「そういえば、ドワーフたち帰ってこないな」


 魔宝石や鉱石を掘っていると思ったが、あれから一度も洞窟に出てくる姿を見ていない。

 何が起きたのだろうか。


「せっかくだから様子を見に行くか?」

『拙者が案内するぞ!』


 嬉しそうに飛び跳ねていく大福を見て、断るのも申し訳なさそうだ。

 俺たちは気になって洞窟の中に入っていくことにした。

お読み頂き、ありがとうございます。

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