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キッチンカーと巡る異世界グルメ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~  作者: k-ing☆孤独な王子①6/8発売
第三章

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75.料理人、死亡フラグ立つ

「なぁ、あれはなんだ?」


 何か影のようなものがユラユラ揺れている。


「ああ、ここにはレイスが現れるんだ」

「レイス……?」


 ドワーフたちは影の正体をレイスと言っていた。

 コウモリの影かと思ったが、どうやらあの影自体が魔物らしい。

 まるで温泉の湯気が動いているような感じだ。


「あいつは魔法で倒すか、灯りを当てると倒せるぞ」

「灯り……あっ、これでいいか!」


 洞窟の中はちょうど暗くなっているから問題ないだろう。

 俺はキッチンカーのヘッドライトをつけて、向きを上にあげる。


「なっ……なんだあれ!?」

「まるでドラゴンのブレスじゃないか!」


 その姿にドワーフたちは唖然としていた。

 俺はただ見やすいようにハイビームしただけだ。

 だが、一瞬でユラユラとしていたレイスという魔物が姿を消し、魔石がいくつも地面に転がっている。


「うぉー! ハルト、お前は魔法使いだったのか!」

「いや……? ただのライトだぞ?」


 いつも一緒にいるゼルフでもこの驚きようだ。

 そういえば、バッテリーの残量問題もあり、ネフィル山でもライトをつけたことがなかった。

 それに夜は早めに休んでいたからな。


『オイラよりもピカピカしてるぞ!』

「むしろ白玉はなんで光るんだ……?」

『ふふん! 聖鳥はピカピカしてるからな!』


 白玉は翼を広げてピカピカと光らせているが、俺からしたらそっちの方がどういう仕組みか気になる。


「まあ、これで奥まで行けるだろ!」

「おっ……おう……」


 戸惑うドワーフを横目にキッチンカーをゆっくり走らせていく。

 もちろんドワーフやゼルフはキッチンカーの周囲を一緒に歩いている。

 ただ、あまりのヘッドライトの明るさに魔物は洞窟の奥に入っていくため、出番はなさそうな気がする。


「どこまで行けばいいんだ?」

「もうこの辺で大丈夫だぞ」


 温泉を引くのに道を掘っていくだけのため、そこまで奥に行く必要はない。

 ゼルフが周囲を警戒している間に、ドワーフたちは作業をしていく。


「おい、水路を作って出た土を中央に持ってこい!」

「湯を止めるにはしっかり固める必要があるな……」

「今日は水路だけにして、明日セメントで固めるか」


 ドワーフたちはお互いに話を進めていた。

 洞窟の縁に1メートル程度の幅で水路ができると、その土を中央に集めていく。

 昨日まで温泉があったのもあり、土もある程度の柔らかさがあるらしい。


「よくあの図面で作業ができるな……」

「ハルトは頭の中が変わっているから、理解するのが大変だよな」


 ……ん? それはかなり言葉足らずな気がするぞ。

 そのまま受け取ると、ただの悪口にしか聞こえない。


「ゼルフ、喧嘩売ってるのか?」

「ん? 喧嘩か? ハルトより絶対俺の方が強いだろ」


 体格からしてゼルフのほうが強いのは誰が見てもわかるだろう。

 だが、俺にはゼルフが言う変わった頭の中があるからな。

 

「よし、今日の昼飯は抜きに――」

「そんなこと言っていいのか? 魔物が襲ってきても俺は何もせずに逃げるぞ?」


 ゼルフのくせに俺を脅してくるとはな……。

 ニヤニヤした顔がさらにムカつく。


「ゼルフは一生飯抜きに決定だな。親友の頼みすら――」

「なっ!? 冗談だ! 俺がお前の頼みを断るはずがないだろ!」


 必死に謝るゼルフに俺は笑いを堪える。

 そこまでして俺のご飯が食べたいって、もはや餌付けしている気分だ。

 ……いや、餌付けしているのは事実か。

 それに絵の才能が皆無なのは俺が一番知っている。

 むしろあの適当な構図をドワーフたちの手によって、書き換えられて共通できるものになったことに驚きだ。

 ドワーフたちの作業が速いのもあり、一時間もしないうちに出入り口まで大まかに水路はできていた。

 あとは崩れないように石や木で固めれば、水路は完成するらしい。


「ゼルフ、奥に行った魔物ってどうなっているんだ?」

「あー、魔物同士で食い合いになるか……強いやつが前に出てくると――」


 その言葉の直後だった。

 水気を含んだような重たい音が、洞窟の奥から響いてくる。


「……なんだ?」

「来たな」


 ゼルフは嬉しそうに剣を抜くと、洞窟の奥に入っていく。


「帰ったらおにぎりを準備しておけよ!」


 なんか……これってよく聞く死亡フラグってやつじゃないか?

 いや、さすがにおにぎりを準備しておけっていう死亡フラグはないか。

 よく聞くのは戻ったら結婚しようとかだもんな。

 俺はハイビームで洞窟の奥を照らす。

 暗闇の奥で、何かが蠢く。

 次の瞬間、ぬるりとした巨体が光の中へと飛び込んできた。


「でっかい……カエル?」


 人の背丈ほどあるカエルが、温泉の水を滴らしながらこちらを睨んでいる。

 その皮膚は湯気をまとい、ぬらぬらと鈍く光っていた。


「温泉を縄張りにしてるやつだ!」

「皮膚がぬめって、普通の武器は滑るぞ!」


 ドワーフたちは直接戦ったことがあるのだろう。

 ただ、武器が滑るって――。


「は? じゃあどうすんだよ!」


 その声にゼルフは慌てる。

 俺もどうやってあのカエルを倒すか気になっていた。

 さっきまでカッコつけて向かったのに、剣が効かないってなるとどうしようもない。


「わしは知らん! 逃げるぞ!」


 ドワーフたちがこぞって逃げてくると、カエルが大きく口を開く。

 長い舌が伸びると、ゼルフの体を巻きつける。

 本当にやばいんじゃ――。


「うおっ!? 離せよ!」


 ゼルフの声が虚しく洞窟に響き渡る。

 そのままカエルはゼルフを咥え、洞窟の奥へと跳ねる。


「……っ!」


 俺は咄嗟にライトを向ける。

 一瞬だけ、カエルが目を細めた気がした。

 どうやら暗い洞窟にいるからか、光には弱いのかもしれない。


「白玉、しっかり掴まれよ!」

『いっくぞおー!』


 ドラクションを鳴らし、アクセルを踏み込む。

 ぬかるんだ地面にタイヤが取られ、車体が大きく揺れた。


✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦

【あとがき】


絵が上手いという設定だったのに、途中から下手という設定に変わってました。

ええ、私忘れておりました笑

指摘ありがとうございます!!!

続きを三ヶ月振りぐらいに書いたので……許して笑

時間がある時に修正させていただきます(T ^ T)

お読み頂き、ありがとうございます。

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よろしくお願いします(*´꒳`*)

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