表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キッチンカーと巡る異世界グルメ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/70

59.料理人、二日酔いメニューを作る

「ぬおー、頭が割れるー!」


 俺の隣でゼルフは声を上げている。

 あれからドワーフたちにバレないようにゼルフを担いで抜け出し、宿屋に泊まった。

 酒を飲むと本性が現れるって聞くが……あいつはただの食いしん坊だったな。

 酔っ払ったゼルフは普段よりも口数が多いことがわかった。

 ずっと「俺の飯は最高」「生きてて良かった」「一生付いていく」とやけに俺を褒めてくるから気持ち悪い。

 さすがにずっと一緒にいるのは俺には無理だからな。


「じゃあ、ゼルフは休んでいろよ。俺は白玉とキッチンカーに――」


 そんなゼルフを置いて、朝食を作るためにキッチンカーに戻ろうとしていた。

 それに気づいたのかゼルフは俺にもたれかかる。


「俺も連れて行けー!」

「おい、離れろよ! お前動けないだろ」

「こんなに弱っている俺を置いてくのか……」

「別に風邪じゃないだろ!」


 ゼルフはまだ酔っているのだろうか。

 普段は無愛想だし、こんなにベタベタと距離が近くなることはない。


「俺はハルトの代わりに酒をたくさん飲んだぞ? そんな俺を置いてくなんて……」

「くっ……」


 俺の代わりと言われたら罪悪感が湧いてくる。

 本当にめんどくさいやつだな。


「わかったよ。なら一緒に行くぞ」

「うっし! ほら早く行くぞ!」


 ゼルフは嬉しそうに宿屋を出ていく。


「あいつ本当に二日酔いか?」


 今までの態度は演技だったのか?

 いや、あいつがそんな器用なことできるはずがない。


『耐性があるのかもね?』

「耐性……?」

『魔力があれば多少は耐性があるぞ!』


 どうやら体に魔力があれば何もない人より耐性が強くなるらしい。

 耐性が高ければかかりにくいし、治りやすいという特徴があると。

 まるでゲームの世界みたいだな。

 毒を盛られていたゼルフは毒による耐性があるのだろう。

 アルコールって毒みたいなものだからな。


「お前ら遅いぞ!」


 ゼルフに呼ばれた俺と白玉は、昨日使った調味料を持って追いかける。



「兄ちゃん、やっと起きたのか!」


 キッチンカーに戻ると、なぜかキッチンカーの周りにドワーフたちが集まっていた。


「朝からどうしたんだ?」

「昨日キッチンカーに乗せてくれると約束したじゃないか!」

「いや……そんなことしてないぞ?」


 俺はまた乗せるとは返事をしていない。

 勝手に解釈していたのはドワーフたちだからな。


「「「ぬおおおおお!」」」


 ドワーフたちは絶望した顔でその場で座り込んでいた。

 そんなにキッチンカーに乗りたかったのだろうか。


「それに魔石がなければ動かないからな」

「魔石があればいいのか?」


 ドワーフたちはお互いに顔を見合わせた。

 ひょっとして――。


「今日は鉱石発掘はやめて魔物狩りだあああああ!」

「「「うおおおおお!」」」

「おっ……おい!」


 止める隙もなく、ドワーフたちはツルハシを肩に担ぎ、どこかに向かって行った。

 あいつら本当に勝手だな。

 興味があるものに関してはとことん情熱を注ぐタイプなんだろう。


「あぁー、師匠たちはなんであんなに元気なんだ……」


 ドワーフたちに遅れて付いていく、小さめのドワーフがいた。

 顔は老けているがサイズは小学生くらい。

 なんというか……おっさん顔のちびっこって感じだ。


「お前は付いて行かなくていいのか?」

「ワッシは頭が痛いから今日は休むぞ」


 どうやらドワーフの中でもアルコールに弱い人もいるらしい。

 さっき白玉が話していた耐性がまだ弱い人なんだろう。


「そういえば、昨日の肉は美味かったぞ。あれを食べたからか、今日はいつもより頭も元気だ」


 つまみも食べずに酒を飲んでいたら、胃も傷めていただろう。

 これからはぜひつまみを用意してもらいたいものだ。


「それはよかった。水もしっかり飲むと二日酔いも軽くなるからな」

「水を飲むといいのか……んー、そうか……いたた」


 頭痛があってもドワーフはその場で何かを考えているようだ。


 俺は荷台部分を開けて中に入っていく。

 ガスコンロがあるから、エンジンがつかなくても調理はできるからな。


「うぉー、その箱は後ろが開くのか!」


 ドワーフは興味深そうに荷台部分を見ていた。

 キッチンカーの本来の凄さはこの調理場だからな。

 ぜひ、動くようになったらキッチンカーの凄さを伝えて――。


「キッチンカーで酒場をすればドワーフも来るのか……」


 酒を飲むドワーフなら、酒とつまみを出せばキッチンカーで売れるかもしれない。

 それに目の前のドワーフみたいにアルコールに慣れていない人に向けたカクテルを作ったら売れそうだ。


「にひひひひ」

『ハルトがゼルフより怖い顔してるぞ……』

「何言ってるんだ? 俺は怖くな――」

「『それはない!』」


 まさか俺の顔が怖いと言われる日が来るとは思わなかった。

 ゼルフの無愛想な顔が俺に移ったのだろう。

 俺は手で顔をグリグリとして表情を戻す。

 

「じゃあ、胃に優しい朝食を作るから待ってろよ」


 俺は早速朝食を作ることにした。

 胃に優しいことを考えると、さっぱりしていて食べやすいものが良いだろう。

 ご飯は炊くのに時間がかかるから……。


「残っているうどんを使うか」


 フロランシェにいる時にうどんの生地をたくさん仕込んでいたため、そのあまりが残っている。

 賞味期限切れになる前には食べたほうが良いだろう。

 まずはお湯を沸かしてうどんを茹でていく。

 ガスコンロが一つしかないのが痛手だが、時間はあるから問題はないだろう。


「一緒に食べていくか?」

「いいんすか?」


 小さなドワーフがゼルフと白玉の隣にいたから、さすがに声をかけないわけにはいかない。

 ゼルフと白玉がジーッとドワーフを睨みつけているが、自分の分が減ると思っているのだろう。


 うどんが茹で上がると、別の鍋に用意していた水、白だし、生姜で作った出汁を温める。

 沸騰してきたら、そこにうどんを投入して溶き卵を鍋全体に回し入れたら完成だ。


「できたぞ!」


 お皿に入れたかき玉うどんは、テーブルに置くと卵がふわりと広がっていく。

 

「「『ゴクッ……』」」


 食いしん坊たちとドワーフは必死によだれが出ないように飲み込んでいた。


「食べていいぞ?」

「「いただきます!」」


 ゼルフと白玉はすぐにかき玉うどんを啜っていく。

 ドワーフは色々な角度からうどんを見ているから、初めて見たのだろう。


「熱いから気をつけろよ!」

「おっ……おう!」


 ドワーフは器用にフォークでうどんを引っ掛けて、口に運んでいく。


「なっ……なんだこれは!?」

「ハルトのご飯は美味いだろ!」


 なぜかゼルフが胸を張って嬉しそうにしている。

 まぁ、それがゼルフの良さでもあるからな。


『クゥエエエエ! このスープ美味いぞ!』

「なんだと!? うっ……うめええええ!」


 ただ、相変わらずゼルフと白玉はうるさいな。

 もうちょっとドワーフを見習って静かに――。


「うっ……今までワッシは何を食べていたんだ……」


 あぁ……さすがに静かでも号泣されると俺も困る。

 なんかめんどくさそうなやつに食べさせてしまったな。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ