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21 嗚呼、愛しき我がケルテクラウン

今回は話の流れの都合上、少し短いです。

母様はリオンに家族愛とはなんたるかの説教を始めてしまった。


これはリオンには申し訳ないことをした。

母様とリオンの考え方が食い違う最大の理由は僕にあるからである。

リオンの考え方の根幹は適材適所であり、そうすると僕はみんなの盾にならなければならない。

そうなれば母様は愛する我が子を危険な最前線に立たせるのは何事か、となる。


今はまだ僕が5歳だから前線に立つことはないが、リオンとしては絶対に怪我をしない将など前線に立たせたくなるだろう。

父様と母様は僕が15歳で戦場に立てるようになるまでにそんなリオンの考え方を改めようとしてる感じがする。

僕もリオンとは兄弟弟子だし、考え方が近いところがあるので注意しようと思う。

後ろを振り返ればグランが一番苦々しい顔をしていた。


「難しい問題ですな。私は経験故にウィンディ様やリオン、そしてシオンぼっちゃまの気持ちも考え方も理解できてしまうので」


グランでも難しい問題なのか。ならば


「じゃあ、難しい顔のままだとメイミとシズクとフブキに心配されるから、気分を変えよう。ほら、グランも笑って!」

「はっはっは、ぼっちゃまは強引ですな」


すぐにこちらの意図を察してくれるグランに心の中で感謝をして、メイミとシズクとフブキと合流した。

2人と2匹を引き連れて、父様が休憩している執務室に向かいフブキの紹介をすることにした。


「父様!この子が北の砦でテイムをしたフェンリルのフブキです!」

「ワォン!」

「おぉ、ギルバードから話を聞いているよ。とても賢そうな子だね」


どうやら兄様の護衛ギルバードが、嘆願書の提出の際にフブキについても説明してくれたらしい。

フブキの頭を撫でてくれる父様。フブキも嬉しそうだ。

ちなみにシズクは僕以外がフブキを可愛がってもヤキモチを妬かない。あれ?ヤンデレ気質?


そんなやりとりをしていると母様、兄様、姉様も合流して家族団欒になった。

ふと、とあることを思い出し、アイテムボックスから包装紙に巻かれたものを3つ取り出し、1つを兄様に、もう1つを姉様に渡す。

母様には伝わったようでニコニコしているが、父様は少し戸惑っている。


「こちらは僕たちからの父様へのお土産です」

「寂しい思いをさせてごめんなさい」

「父様大好き〜!」


兄様、僕、姉様と一言ずつ添えて、プレゼントを渡す。


「お前たち〜!」


また僕ら3人を抱きしめて泣く父様。再会の時といい、泣きすぎである。侯爵の威厳もへったくれもない。

ちなみに僕と兄様は父様からのハグを避けようと思えば避けれる。

しかし、そうすると姉様が一人で抱きしめられることになるので空気を読んでいるのだ。


今回は母様も父様の抱擁を止めない。

なんなら父様の執事と母様の執事と3人で僕らのプレゼントの包装を綺麗に剥がしている。

3人が包装を剥き終わるまで抱きしめられていた僕らは変に疲れたが、僕らのプレゼントである革の3点セットを身につけた父様はご満悦である。


父様はその日1日中ウキウキで、晩御飯の時に伯爵2人からドン引きされていましたとさ。


次の日。

侯爵軍の牽引は軍団長とリオンに任せて、なんなら自分が乗っていた馬まで兵に任せて父様は僕らの家族馬車に乗って来た。それでいいのか侯爵軍。

父様が乗っても馬車はそんなに狭くならないのが助かった。

父様の左右には僕と姉様。僕の頭の上にはシズク。

正面には母様と兄様。フブキは母様の膝の上に頭を乗せている。


伯爵2人と伯爵家の人々に別れの挨拶を済ませ、僕らはフロストタウンからケルテクラウンへ向けて出発をした。


道中の話題はやはりこの旅の思い出になる。

キングホワイトベアのことや、フェルンタウンでの買い物の話など、僕らの旅のお土産話を聞いて父様も楽しそうだ。

ガルード絡みでこれから忙しくなるだろうし、一時的な休息なのかもしれない。

あ、だから軍団長もリオンも気を使ったのか。

ちなみに父様と母様はフェンリルとホワイトベアのことを知っていたようだが、キングホワイトベアが出てきたことは完全に想定外だったようで


「シオン。私が危険な目に合わせてしまったな。申し訳なかった」


と父様が謝ってくれた。

僕は全く気にしていなかったが、兄様を筆頭に姉様、母様からお叱りを受けていたので父様が可哀想になった。

ん?母様?そっち側なの?



そんなこともあったが、お昼休憩の駅舎町でも父様は終始、機嫌が良いままだった。

今ならなんでも買ってもらえそう。

いや、フェルンタウンで買いたいものは買ったか。

そんなことを考えつつボ〜っとしていたら、何故かみんなに驚かれてしまった。

ずっと僕の頭の上に乗っていたシズクもなんだかのぼせたみたいになっていた。

旅の疲れが出ているのだろう、とシスター・リリィに判断され、午後は母様の膝枕で寝ることに。


そうなると馬車が狭くなる。

父様が乗れないほど狭くなるわけではないが、父様以外の家族の総意で父様は駅舎町に置いて行き、侯爵軍と合流してもらうことになった。

ごめんよ、父様。


僕は昼寝をしていたが、午後の移動はケルテクラウン周辺なので、治安も良く魔物すら現れない平和な道であった。

馬たちも最後の力を振り絞ったのか、薄暗くなる前にケルテクラウンが見えてきた。


そして、ようやく辿り着きました、我らがケルテクラウン!

僕も起き出し、住民に手を振る。

なんとなくまだポヤポヤしているが、体は動く。

家族からの心配も


「大丈夫!」


と返す。


侯爵邸についてからもやることはまだまだある。

まず、家族の部屋をそれぞれ周り、旅の荷物をアイテムボックスから取り出す。

厨房に行き、食器や残った食材、残飯などに分けてアイテムボックスから取り出す。

父様の執務室に行き、この旅で母様やジュストが作成した書類をアイテムボックスから取り出す。

ローランさんからの手紙をアイテムボックスから取り出し、ロミーさんに渡す

シスター・リリィの仕事道具をアイテムボックスから取り出し、シスター・リリィを見送る。

厩舎に行きヴィッグたち御者組の仕事道具をアイテムボックスから取り出す。

大広間でシリュウたちの武器や荷物などをアイテムボックスから取り出す。

そして、《赤き竜の爪》の3人にもお礼を言ってお見送りをする。


「今回の旅の報酬は父様からいっぱいもらいなよ!」

「ありがとうシオン様。体調はほんとに大丈夫?」

「しばらく休むし大丈夫だよ、そのうちまた会いに来てね」


受け答えをしてくれたのはメグさんだが、3人とも心配をかけてしまった。

寝て起きれば治ってると思うけど、早く体調を万全にせねば。


そんなこんなしている間に父様率いる侯爵軍も帰ってきた。

馬にまたがり、軍を率いる父様はかっこいい!


久々の侯爵邸(我が家)での晩御飯を済ませ、グラン、メイミ、シズク、フブキを連れてようやく自分の部屋に帰って来た。


そして僕は自分の部屋についたことに安心して…





倒れた。

次回投稿日は明日5/6です。

次回22話のタイトルは「侯爵家大混乱」です。

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