16 侯爵家プレゼント大会(父様不在)
ツヴァイクロー伯爵家の広めの一室にて。
シルバーバーグ家のプレゼント大会(父様不在)開催!
トップバッターは我らがルーク兄様!渡す相手は母様!
僕はアイテムボックスから兄様の買ったものが入っている袋を取り出し、兄様に渡す。アイテムボックスの機能を使えば包装された物の中身も確認できるが、そんな野暮なことはしていない。
「母様、いつもありがとう」
と言って兄様が母様に渡したプレゼントは細長い形をしていた。母様が丁寧に包装を剥がすと、現れたのは木の容器にガラスの蓋がついた細長い入れ物だった。母様はガラスの蓋を外し、中身を取り出す。それは蒼い魔石のついたネックレスだった。母様は嬉しそうな笑顔でそれを母様のメイドに渡すと、母様は髪を持ち上げ、メイドは母様の首元にそれを装着しはじめた。母様の執事が少し大きな鏡を取り出し母様に見せると、母様は
「ルークちゃん。ありがとう」
と、椅子から立ち上がり、兄様を抱きしめた。兄様は平静を装っているが、照れて顔が真っ赤である。兄様可愛い。
「じゃあ、次はアクアの番!」
と姉様が元気よく宣言したので僕は姉様の袋を取り出し、バーツに渡す。姉様がその袋から取り出したものは軽そうだが少し大きな物だった。
「母様、大好き!」
と姉様が渡したものをまた母様は丁寧に包装を剥がす。出てきたものは、小さいフブキ?いや、白い犬のぬいぐるみだった。兄様の時とは少し違い「らしいわね」と言わんばかりの吹き出しそうな笑顔で
「アクアちゃんも、ありがとう」
と言って姉様を抱きしめた。次は僕の番だ。ドキドキしてきた。
アイテムボックスから自分の袋を取り出し、袋の中を確かめる。母様にプレゼントするものは一番大きなもだ、なので間違えないように取り出した。
「えっと、母様。今回は旅についてきてくれてありがとうございます。えっと、その、プレゼントです」
多分、顔が真っ赤なんだろうな。グランをはじめみんなニヤニヤしている。兄様姉様のプレゼントと同様に丁寧に包装を剥がす母様。出てきたのは碧色の染め布だ。母様は生地をしっかりと確かめてから満足した様子で
「ありがとう。シオンちゃん」
と抱きしめてくれた。とても照れ臭かったが、母様の愛を感じ少し涙が滲んでしまった。神託の儀の後に何故、この家族から追放されてしまうと思っていたのか謎に感じるくらい、僕、シオン・B・シルバーバーグは家族から愛されていた。
母様から僕らへのプレゼントは今回はないので、兄弟間のプレゼント交換が始まった。まずは兄様、姉様間だ。
兄様が姉様に渡したのはオシャレな瓶?どうやら集中力を上げるためのアロマオイルらしい。やっぱり兄様は姉様にもっと勉強しろと思っていたのか。対する姉様から兄様へのプレゼントは白い手袋だった。高貴な兄様にはピッタリなプレゼントだけど、ユピテル君がいるここで白い手袋はまずいんじゃないかなぁ?まぁ、兄様がユピテル君に白い手袋を叩きつけるようなことはしないだろうけど。
次は兄様と僕で交換をする。当然僕が渡したのはインク入れ用のオシャレな瓶。兄様も気に入ってくれたみたいだ。兄様から僕へのプレゼントは色々な花が刺繍されたハンカチだった。おしゃれではあるもののカラフルでなんか兄様らしくないな?と思っていたら兄様から解説をしてもらった。
「複数の花が刺繍されているだろう?それらの花の花言葉が全て『あなたの無事をお祈りしています』なんだ。砦のようなことがあっても無事にまたシオンの笑顔が見たいからね」
その兄様の言葉と僕が手に持っているハンカチで自動魔力吸収がパワーアップした気がするが、多分気のせいだろう。
最後は姉様と僕のターンだ。姉様にはガラス細工の蝶々がついた髪留めを渡して、姉様のメイドがつけてくれた。うんうん、とても似合っている。そして、姉様が僕にくれたものはコインがついたネックレスだった。同じネックレスでも兄様が母様にプレゼントしたネックレスはオシャレだったのに比べてこのネックレスはオシャレという感じではなかった。コインをよく見ると、描かれていたのは
「カエル?」
デフォルメされたカエルが彫刻されていた。姉様曰く
「これはね、オシャレ用のネックレスじゃなくてお守りなの。何があっても無事に帰る(カエル)っていう」
微妙な笑顔になってしまっただろうが、姉様に感謝してメイミにネックレスをつけてもらう。今度は自動物理防御がパワーアップした気がするがそんなわけない。伝説のアイテムならまだしも、お店で売っているようなアイテムでギフトがパワーアップするわけがないのだ。うん。ただ、兄様、姉様には感謝しかないので、この2つだけはアイテムボックスに仕舞わずに身につけておこう。
そんなこんなで翌日の朝。
昨夜のプレゼント大会の時間にはすでに寝ていてくれていた御者組が張り切って馬車の準備をしてくれている。
そんな中、僕は眠い目を擦りつつ、メイミに身支度を手伝ってもらう。グランとメイミは朝からシャキッとしているが、シズクもフブキも眠そうである。そういうところも主従って似るの?僕が最後の身だしなみチェックを全身鏡の前でしている横にフブキと手のひらにシズクを乗せたメイミも並ぶ。あぁ、ティアラとスカーフを身につけたからチェックしたいのね。大丈夫、似合ってるよ。
伯爵家の使用人の皆さんにお礼を言いつつ玄関を出るといつもの倍以上の馬が用意されていた。
そういえば伯爵軍の精鋭の皆さんも一緒にフロストタウンまで行くんだっけ、ということは
「皆さん、おはようございます」
かっこいい甲冑に身を包んだツヴァイクロー伯爵が現れた。いや、まぁ、護衛なんだから間違ってはいないが、短い旅になるんだし、ガチガチの戦闘装備はどうなんだろうとも思った。あ、そうか伯爵はそのまま侯爵軍と合流して盗賊団と戦う気なのか、と納得した。
全員の準備が完了し、朝の早い時間から出発をした。人々が街に出てきてから出発してしまうと、ケルテクラウンを出発した時みたいなちょっとしたパレードになりそうだと総意が取れたからだ。
最初の馬車割りは家族バラバラ馬車である。ジュストがずっと母様馬車だったことを気にしてか兄様馬車に乗り込み、それを見たメグさんが姉様馬車、ルドーが僕の馬車に乗り込むと、シスター・リリィが手と足が同じ方が出るくらい緊張して母様の馬車に乗り込んで行ったとさ。大丈夫、母様は取って食べたりしないよ〜。
伯爵とキャロルが騎乗する馬が先頭を歩き、侯爵家一行の護衛が伯爵軍に混ざる感じで馬車の周辺を警護しながら馬を歩かせている。
伯爵軍の装備は黒を基調としたもので統一されていて格好いい。主戦場の雪の中では目立つだろうが、むしろ南国では黒い装備は暑さという意味で自殺行為なので、雪国らしい装備と言えなくもない。
最初は伯爵軍の方々を観察していたが、昨日の疲れが残っていたのかメイミの膝枕で寝てしまっていた。グランがブランケットをかけてくれて、フブキを抱きしめ、おでこにはシズクがいて、安心して眠れた。
目が覚めると、午前中の休憩の時間になっていた。
次回投稿日は4/25(土)です。
ゴールデンウィーク毎日投稿を企画中。
頑張ってストック増やし中です。
次回17話のタイトルは「侯爵軍の参謀長」です。




