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15 旅のお土産

ロンダートさんが新しく連れてきてくれたエリアは雑貨エリアだった。木彫りの置物や、ガラスの小物といったものから、羊毛のぬいぐるみや革製品まで並んでいる。

エリアの入り口から商品のラインナップを確認し、そうそう、こういうのと思った。

兄様も姉様も同感だったのか、それぞれにアイコンタクトをすると、僕ら兄弟は手を離し、バラバラに散っていった。

兄様にはキャロルと兄様の執事とジークさん、姉様にはナタリーとバーツとザクさんがついて行き、僕にはグランとシリュウとメグさんとメイミとフブキとシズクがついて来た。僕だけ大所帯だな?3兄弟の急な行動になんの驚きもなくついてくるあたりこの大人たちは訓練されている。

《赤き竜の爪》の3人も僕らに慣れて来たみたいだ。

これにあわてたのがロンダートさんである。近くにいた若い女性スタッフを姉様について行かせ、若い男性スタッフを僕について行かせて、自分は兄様についていった。


僕が、お土産を渡す相手は父様、そして侯爵邸でお留守番をしてくれている人たちである。侯爵邸の人々は人数が多いので、母様とルドーとジュストが相談してみんなに行き渡るような食べ物の材料を手配してくれるらしい。なので、メインに探すのは父様に渡すものだ。ついでに母様にもプレゼントを買おう。他にプレゼントを買いたい相手は全員、今僕の後ろにいるのでサプライズにならない為、保留とする。

父様にプレゼントをするのであれば、革製品だろうということで、革製品が並んでいるコーナーに来てみたが、イメージよりいろんなものがあったので戸惑った。手袋か、ポーチか、ベストか、財布か、スタッフさんにセールスポイントを聴きつつ悩み、最終的に僕が選んだのはベルトに付けられるタイプのポーチだった。理由は父様がつけたらなんとく格好いいと思ったからである。

革製品コーナーから移動し、染め物コーナーを見つけた。色々あったが、母様が好きそうな碧色の布を選択。ガラスの小物コーナーにも興味が惹かれ、綺麗なインク入れ用の瓶を兄様のプレゼントとして確保。蝶々のガラス細工のワンポイントがついた髪留めも姉様のプレゼントとして確保した。選んだ4点を並べて、うんうん、我ながらセンスがいいな、と思った。


母様、兄様、姉様用のプレゼントの商品はスタッフさんに預かってもらい包装してもらうことにした。僕は父様用のプレゼントであるポーチを持ち、兄様、姉様と合流をした。選んだものが被ってないかを確かめる為である。

集まった兄様と姉様も手に持っているものは革製品だったが、兄様は財布、姉様はナイフホルダーだった。

兄弟でアイコンタクトをとり、ニヤリと笑い、それぞれの執事と担当スタッフに声をかけ、お会計に進んで行った。変なところで息がぴったりな3兄弟だった。


全ての商品を包装してもらうのに時間がかかるということで、エントランスで待っていた。ちょっとした時間だったが、僕ら3兄弟には先ほど姉様を担当した女性スタッフが紅茶を持ってきてくれた。サービスが行き届いたとても良い店である。

そういえばユピテル君にも何か買えばよかったかな?という話題になったが、(彼の地元の)フェルンタウンで買ったものを渡すより、(僕らの地元の)ケルテクラウンで買ったものを送った方がいいのでは?という話になり、一旦忘れることにした。

ロンダートさんが先ほど僕を担当した男性スタッフを引き連れ、手には大きな手さげ袋を一つ持ち、やってきた。男性スタッフは大きな手さげ袋は二つ持っている。手さげ袋はそれぞれの護衛が預かったあと、僕が一つずつアイテムボックスに仕舞っていった。アイテムボックスに仕舞う際、護衛が持っているものを一緒に触ればいいだけなのだが、一度預かり手に持ってから仕舞った。その時の重さで、兄様も姉様も父様へのお土産以外に何か買っていることはわかったのだが、スルーすることにした。


ロンダートさんとスタッフさん達はお店の外までお見送りをしてくれた。お礼を言いつつ、少し歩いたところで兄様たちはもう一軒本屋に寄ってから帰ると別ルートへと歩いて行った。残った僕らはもう用事が済んだので、伯爵邸へと歩き出した。


無事、みんな伯爵邸に着いたその日の晩御飯のことである

「盗賊団?」

母様とツヴァイクロー伯爵の会話が聞こえてきたので、思わず尋ねてしまった。

「あぁ、近年王都付近で暴れていた盗賊団がいたのだが、最近話を聞かないと思っていたのだがな。規模を増やし、ケルテクラウン近郊の森を抜けた先にあるケープの村を占拠したという情報が先ほど入ってきてな」

3兄弟に向けて伯爵が説明してくれる。

「ケープの村は人口約300人ほどの村だから、盗賊団は少なくとも20名以上という試算が出ている」

今日、フェルンタウンに情報がもたらされたということは、ケープの村の場所から考えるに、実際に占拠されたのは一昨日とかなのだろう。

「侯爵軍は主力が不在なので、安全をとって近くに陣を構えるだけに留めているらしい」

確かに侯爵軍の副団長であるキャロルをはじめ、シリュウやナタリーといった実力者もフェルンタウンにいて戦力は削がれているが

「それにしてもそれだけ慎重なのは不自然だよねぇ。グラン、どう思う?」

「嫌な予感がいたしますな」

「だよねぇ」

と、僕とグランが分かり合っているとツヴァイクロー伯爵は怪訝な表情を浮かべた。

「それは一体どういう意味だ?」

「力押しでも侯爵軍が盗賊団に負けるわけがないんです。何か企んでいるとしか」

祖父の時代の戦争に参加した者達は引退し、現在の侯爵軍は最年長でも戦争に参加していない。そのため、侯爵軍は世の中的にも実力は未知数となっている。身近な、とりわけ親族といってもいいツヴァイクロー伯爵でさえ、その実力を推し量れないくらいには。

「それは、村民の安全のために絶対安全な戦力が整うまで待っているのではないか?現に、私とハーヴェイ伯爵には援軍要請が来ている」

「それこそ危険です。盗賊団では絶対に敵わない人数で包囲すれば盗賊団は何をするか分かりません」

僕の発言で伯爵は混乱してしまった。母様と兄様は僕とグランの会話で概ね察した様子。家族3人が慌てていないので安心しきって興味がない姉様。そんな様子を見ていた伯爵夫人が口を開く

「ウィンディもルーク君も、シオン君が何を言っているのかわかっているなら教えてちょうだい?」

「そうね。侯爵軍に人材は足りている、ということと悪いことを考える人間はいるものね。ってことかしら」

「母と弟がすいません。僕らが心配することは何もないということです」

母様が僕と同じく意味深なことしか言わなかったので、さらに怪訝になってしまった伯爵に対して詫びる兄様。その後も含みを持たせつつ、伯爵と伯爵夫人を説得してくれた兄様。あれ?兄様、もしかして外交官の素質もある?流石兄様!

伯爵は父様からの援軍要請とは別で、フロストタウンまで僕らの護衛をしてくれることになった。伯爵は伯爵軍の数名を派遣すればいいだけなのだが、本人自ら精鋭20騎を引き連れて護衛をしてくれるらしい。この対応には素直に侯爵家一行全員でお礼を言いました。

数時間遅れで伯爵軍の副団長が50名を引き連れて援軍にも行ってくれるらしい。帰ったら父様にツヴァイクロー伯爵のことをたっぷり褒めて報告せねば!



晩御飯で一悶着あったものの、今日の疲れをお風呂で癒した。

その間に晩御飯の件で打ち合わせをしていた執事組だったが、プレゼントの件でも情報共有を行ってくれていて、お風呂の後に家族団欒のプレゼント大会が設けられることになった。

そのことをグランから聞いたので、ワクワクでお風呂場から出たのでした。

「グラン、いつもありがとう!」

次回投稿日は4/18(土)です。

次回16話のタイトルは「侯爵家プレゼント大会(父様不在)」です。

お楽しみに~。

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