馬車に揺られて…
馬車に乗せられ、聞いた話をまとめるとこんな感じだ。
この世界には幻獣と呼ばれる魔物が居る。
幻獣は例外もあるが一体一体が災厄並の力を持つ。
今回、この国の付近に幻獣が現れ討伐することに。
しかし討伐部隊があと少しという所で幻獣を逃してしまった。
そして、さっき俺が会った蛇こそがその幻獣らしい。
「ここまでで何か質問はありますか?」
さっきの青年が聞いてくる。
「なんで自分が連行されてるのかがわからないんですが…」
「あなたの手にあるその模様が、主獣契約の印だと思われるからです」
「主獣契約?」
「主獣契約とは、平たく言えば人が魔獣などと結ぶ契約のことです。一般的には魔獣車等の御者などが結ぶものですね。結んだ相手の種族などによって契約印は変わります」
なるほど、要は魔獣などに命令を聞かせるための契約みたいなものか。
「契約するための条件はあるんですか?」
「もちろんです。…とは言っても実に大雑把なもので、相手が主に相応しいと認めた場合などは一方的に結ばれることもあります」
多分俺もそのパターンだよな…
「主獣契約は基本的には魔獣と結ぶのですが、ごく稀に幻獣が結ぶ場合もあります」
…なんか読めてきたぞ。
「それじゃあこの契約印って…」
「お察しの通り、この度現れた幻獣のものだと思われます」
つまり、俺が幻獣を従わせてこの国を襲おうとした犯人だと思われている訳か…
「ですがまあ、私は貴方が幻獣を使って人を襲わせようとする人には見えないのですが」
「…どうしてですか?」
ここは真っ先に疑われても仕方ないと思うんだが。
すると青年は自分の目を指してながら笑った。
「実は私はあるギフトを持っているんですよ。そのギフトであなたが悪人でないとわかるからです」
ギフトか、そういえばそんなのあったな。どういうものなのか聞いておこう。
「すみません、ギフトってなんですか?」
すると青年は苦笑した。
「あなたは本当に何も知らないんですね。幻獣の事も、主獣契約のことも知りませんでしたし」
「実は記憶喪失みたいで…」
そういう事にしておく。こういう時に小説ではよく田舎から来ましたって言うことがあるけど、そうするとどこから来たんですか?とか聞かれて上手く答えられないみたいな事あるしな。
「そうでしたか…それでは何も知らないはずだ。知らなかったとはいえ失礼なことを聞いてしまったようだ」
そう言って頭を下げる青年。
「いえ、気にしてないのでお気になさらず…そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。私はトウキと申します」
「名乗られたからには名乗り返すべきですね。私はプルミエ王国所属、近衛騎士団団長のリッター・カヴァリエーレと言います。気軽にリッターとお呼びください」
近衛騎士団団長だったのか…身分的に気軽に呼べねーよ…
「ギフトとは有り大抵にいえば生まれつき持っている神から授けられた能力のことです。稀に後天的に得る場合もありますが…」
ふむ、そんなファンタジー設定があるなら魔法もあるかな?
―――――――――
少しこの世界の情報を得るためにリッターさんにいろいろ聞いてみた。
まず、魔法に付いてだか、この世界にはいろんな種類の系統があるらしい。
魔法はいくつか属性があり、その属性ごとに適正がないと使えないようだ。
他には魔術や呪術など、実に多彩な分類分けがなされており、例えば魔術は属性適正と実力、決められた呪文の詠唱によって決まった現象を発現させるものなんだそう。これらも総称して魔法と呼ぶそうだ。
あと、お約束のごとく、実力さえ付けば呪文を新しく作ったり、詠唱を無くしたり出来るらしい。
魔術の属性適正は、魔法と違って練習の積み重ねで出来るようになるのだとか。
それと、稀にギフトの様に生まれながらにして特別な魔法を覚えている人もいるそうで、固有魔法と呼ばれているらしい。
ユニークスキルに似たもので、種族固有能力というものもあるらしい。
幻獣についても少し聞いた。
幻獣は世界で同種族が他にいない、災厄を起こすほどの力があるとされる魔物のことらしい。
しかも、討伐してもまた出現することもあるそうで、原因の解明が急がれているらしい。
幻獣と主獣契約を結んだという事例は殆ど無いのだとか。
「ざっとこんな感じだ」
喋っている間にリッターさんとも打ち解け、会話の硬さが少しなくなった。
「所で、そこそこ長い間馬車に揺られているんですけど、これってどこに向かってるんですか?」
「そういえばまだ言っていなかったね」
リッターさんがそう言ってちょうど見えてきた街を指して言った。
「あそこに見えるはプルミエ王国の首都、プルミエだ」
―――そんな気はしてたさ…




