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美少女追いかけたら…




 7月30日。高校生の俺は代わり映えのない夏休みを満喫している。


 今日は友人の二人と一緒に、姉に車でアキバまで連れて行ってもらう予定だ。

 …しかし暑い。気怠過ぎて眠くなってくる。着くまではまだ時間もあるので寝ることにするか。



―――――――――



「おーい。冬季とうき?着いたよ」

「グー…グー…」

「着いたって………言ってんだろーが!」


 バキッ!!


「ぐはぁ!?」


 何だ!?何が起きた!?


「やっと起きたか」という男子の呆れ顔と、

「おはよ、冬季。よく寝れた?」という女子のニヤニヤした顔に迎えられた。


 こいつらは同年の特に特徴の無い男子の薬袋みない光輝こうき、通称ムッツリと、一つ下で猫耳をほぼ毎日着けてる女子の猫屋敷ねこやしき瑠璃るり、通称ねこ。よく遊ぶ友達だ。


「おう…目覚めは最悪だったけどな」


 そう言って隣の運転席を見る。


「それはあんたが起きないからでしょーが」


 などと言いつつがざつに頭を掻く女性。名前は駿河するが紗由理さゆり。俺の姉だ。


 だからっていきなり殴ることないと思うんだが。


「ゆり姉はもっと女性らしさを身につけるべきだと思う」


 二十歳超えてるんだし。


「うっさいわね!別にいいでしょ?そんなことより着いたわよ?」


 起こされたのはそれが理由か…


「いつも送ってもらっちゃってすみません紗由理さん」


 律儀にお礼を言う瑠璃。


「気にしなくて良いって。コイツからちゃんと報酬は貰うしね?」


 そう言って俺の方を向く愚姉。

 まったく、このひとは…


「分かってるよ…今日は何買ってくればいいんだ?」

「ちょうど切れかけてるからライターと後は適当でお願いー」

「ういうい」


 高校生の弟にライターを頼む姉ってなんだろう…

 ま、送ってもらってるから文句は言わないが。

 とやかく話した後、拾ってもらう時間と場所を決め、礼を言って車から降りた。



 姉と別れて三人でアキバを歩く。


「アキバは久しぶりだなぁ」

「おい光輝、お前一週間前にも来てたよな?」

「ちッバレたか」

「いやバレたも何も一緒に行ったよな?」


 この流れ毎回やってるし…


「そうそう、毎回紗由理さんに送ってもらっちゃってごめんね?なにかお礼したほうがいいのかな?」


 この娘はうちの姉に対して律儀すぎると思う。


「いや、アレも好きで送ってると思うから気にしなくていいと思うけど…」


 そういう人間だしな。あの人。


「まあ強いて言うならなにか買ってあげればいいと思うぞ。ねこがくれるなら何でも喜ぶと思うし」


 そう言うと瑠璃ねこは勢い良くこっちを向き、


「今日は猫耳つけてないでしょ!オフの日なんだからー、『ルリちゃん(キラッ)』って呼んでよね?」


 キラッまで自分で言っちゃったよ。

 というかオフの日ってなんだ。お前はアイドルか。


「うん。これからはちゃんと猫屋敷さんって呼ぶよ」

「反応が冷たい!?」


 泣き崩れるポーズになるルリちゃん(キラッ)(笑)。

 少し小柄で、か弱そうな見た目のねこさん。

 そんな人が道端で泣き真似とか、傍から見たらこっちが悪者に見えるのでやめてほしい。


瑠璃るりさーん?周りから冷たい目で見られてるんでそれ以上泣き真似続けたら置いて行きますよ?」

「なんでそんな他人行儀けいごおおめなのよぉ!?」


 不貞腐れながらも泣き真似をやめて付いて来るネコさん。


「ねえ光輝ー、駿河くんが虐めるよーシクシク」

「おっ、そうだな」

「こっちもひどかった!?」


 崩れ落ちるネコさん。


「うー…薬袋くんも駿河くんもひどいよ…もう友達ヤメるニャ…」


 ねこさん要素が出るねこさん。


「冗談だよ。なあ光輝?」

「ああ。安心しろよ瑠璃」


 テキトーボイスでそう返す。


「この人たちは…もういいニャ…」


 しょぼくれてまたねこさん要素が出るねこさん。今日はオフの日じゃなかったのか。


「そんなことよりどこから行く?」

「そんなことって…まあいいニャ。こうなったら新しい猫耳買いに行くのニャ!」


オフは急用でオンの日になったそうです。


「ならオタメイトから行くか」

「オッケー」


 こうしていつもの日常(買い物)が始まる。



 オタメイト店内コスプレコーナーに着いてから、瑠璃の猫耳選びを手伝うことになった。


「この猫耳とかどうかニャ?似合ってる?」


 そう言って黒色の猫耳を着ける瑠璃。


「こっちのほうがいいと思うけど」


 限りなく淡いピンク色の猫耳を渡す。

 そうして二人でいろいろ試していると、ぶらついていた光輝が戻ってきた。


「これなんかも似合いそうだな」


 そう言って手に持っていたものを瑠璃に付けようとする光輝。


「…ねぇ光輝。僕の目にはそれが女性用下着に見えるんだけど?」

「私にもそう見えるニャ…」


 しかも黒のレース。


「見ての通り下着だが??」

「「変態だった(ニャ)ッ!」」


 瑠璃は結局淡いピンク色の猫耳を買った。



 コスプレコーナーから移動し、雑貨コーナーに行く。


「いいライター見つかんないなー」


 姉に頼まれたから買わなきゃいけないんだけど。


「こんなのどうかニャ?」


 そう言って瑠璃がミリタリーゾーンから出てきた。


「いい笑顔のところ悪いんだけどそれは火炎放射器であってライターじゃないんだけど?」

「そんな細かいこと気にしてたら結婚できないよ?」

「いや、細かくねぇと思うぞ…?」


 そもそもそんな高いの買わないし。

 適当にゆり姉の好きなキャラのエンブレム入りジッポ(216円の安物)を買っておいた。

 ちなみに火炎放射器は198000円だった。



 一通り買い物を終えた後、光輝がどうしても欲しいフィギュアがあると言ってゲーセンに来た。…んだけど。


「おい光輝。そろそろ諦めたらどうなんだ」


 二時間はこのUFOキャッチャーの前にいるぞ…


「あともう少しで取れそうなんだ…!」

「そのセリフ何回目ニャ…」


 さすがのねこも付き合いきれなくなってきている。


 そんなことお構いなしに本日86回目のトライを始める光輝。ここまで来ると買ったほうが早いし安い。


 チャリーン、ウィーン…


「もう少し…!」


 流石に呆れを通り越してきたので少し邪魔をすることにしようかな。


 ポチッ☆


「あ、ゴメ、手が滑った」

「冬季貴様ァァァァァ!」




 そんなこんなでいろいろ回っていたらかなりの時間が過ぎた。



「あー楽しかった」

「腹減ったな」

「いや、光輝さっきマグとナルトで沢山食べてたでしょ?」


 オフの日に戻るねこさん。


「冬季がまだ持ってるからそれを…」

「これは姉の分だからな?」


 こいつは食欲の権化か。


「そろそろ拾って貰う時間だし行こっか?紗由理さんのとこ」

「そうだな。もういいじか…」

んだしね。と言おうとしたところで目の前の人混みに違和感を感じて足を止めた。


 違和感の正体を探る為によく見てみると、人混みの中にピンク髪の少女が立っていた。

 ただの少女なら違和感が気のせいだと思えたのだが、その少女の異質性に目を見張った。

 少女の周りに半径60センチほどの空間が出来ているのだ。ただ出来ているわけではない。周りを歩く人たちが、そこに見えない何かがあるかの様に避けているのだ。


「どうしたのー?」


 ねこさんが聞いてくる。


「いや………」


 そこには確かに少女が居るのに、誰も見えていないかのように無反応だ。

 普通、人混みのど真ん中で突っ立ってる人が居れば邪険に思ったりしてその人を見る。

 しかも少女はアニメなどに出てくるかのような服を着ている。いくらアキバだと言えども、かなり注目されるはずなのだ。

 何かの撮影かとも思ったが近くにカメラの気配は無い。


 瑠璃に少女が見えるか尋ねようとしたとき、少女と目が合った。


「―――!?」


 すると少女は驚いたような、喜んだような顔をした。


「―――――――――」


 そして少女が微笑みながら何かを言った。

 いや、実際は言ったのかはわからないが口が動いた。


 その光景に呆然としていると、少女が路地に向かって走り出した。…まるで付いて来てと言わんばかりの素振りを見せながら。

 そしてそのまま人混みの中に紛れていく。


「ごめん。急用思い出した。先行ってて」

「ちょっ、ちょっと!?」


 居ても立っても居られずに返事も聞かず二人を置いて走りだす。

 普通なら追いかけない、しかしその少女にはそれを許さない何かがあった。

 まるで何かに導かれるように後を追いかける。


 その髪はカラーリング剤じゃ出せないような自然な桜色をしていた。

 素早く人混みから見つけて追いかける。やはり見えない何かがあるかのように人の群れが割れている。

 アニメのような整い過ぎている顔立ちの不思議な少女が走っているのに、誰も反応を示しすらしない。彼女の異常性を証明するのはそれだけで十分だった。

 裏路地へ入る。追いかける。どんどん人気のないところへ向かっていく。

 そしてもう追いつくというところで角を曲がる。


「おい!」


 声をかけ、追いかけるために角を曲がる。

 その瞬間眼を焼くと思うほどの光量が輝いて―――



―――――――――



 真っ白な世界に浮かんでいた。

 目の前にはあの少女が居て、こちらを覗き込んでいる。澄んだピンクの目の中で、桜の花びらのような物が動いている。

 瞳の中で桜吹雪が吹いているかのようだった。


「やっと…やっと見つけた」


 そう言いながらこちらの頬に手を添える少女。


「あなたの名前は?」

「駿河…駿河冬季…です…」


 何が起きたかわからず心ここにあらずな状態で答える。


「駿河冬季…うん、覚えた。…じゃあ冬季、プレゼントをあげるわ」


 少女がおでこ同士を当ててきた。


「…それじゃ、頑張ってね!」


 そう言って少女が離れてゆく。


「待った、君は―――」

いったい何者なんだ。という俺の問は、白んでいく意識の中に消えていった。



―――――――――



 ―――!!


「うぅ…」


 目が覚めた。


「ここは…?」


 目に違和感を覚えながら開くと、見知らぬ場所に居た。

 こぼれ落ちる木漏れ日。この世とは思えないほど澄んだ空気。

 辺り一面に見たことのない植物や果実が綺麗に連なっている。


「なんだ。異世界か」


 …

 ……

 ………

 …………え?

「ええぇぇぇぇぇえ!?」


 バサバサバサッ!


 見たことのない鳥達が大声に驚いて飛び去った。

【「美少女追いかけたら異世界に居た」なんてよくある話だよな?】を読んでいただきありがとうございます!のぞみ ゆうです!


この小説は文章力や構成の拙い作者が思い付くままに書いています!

読むのが苦しいようなものにならないよう努めていこうと思いますので、次話も読んでくれると嬉しいです!



さて、この小説のタイトルを見た皆さんの心を代弁して一言…


あるあ…ねーよ!

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