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私、青春やり直します!  作者: 綾瀬悠
中学一年編
13/13

第12話:分からないなら教えてあげるから。






「……であるからして、ここは……」




部活が忙しいからといって、授業が休みになるわけじゃない。

いつものように授業を受けている。


今は三時間目の数学。

中学校に上がり算数から数学に変わったから、やっぱり内容だって難しくなってる。


それでも算数をしていたからこそ出来る問題。

元々数学が好きだった私は楽しく授業を受けている。





「じゃあこの問題を……神田、解きに来てくれ。」


「はい。」





出席番号順の座席は今でも席替えをせずにそのまま。

私は順番通り当てられた。

指示された問題は教科書の練習問題。

さっきその例題を解いたから難なく進めていく。





「……出来ました。」


「んー、……よし、正解だ。ほかの奴らは合ってたかー?」




正解の言葉をもらい、席に戻る。

途中杏里をを見たけど、……ねぇ眠いのは分かるけど、ちゃんと起きててよ。

自分が頭ヤバイことはこの間のテストで知ってるよね……?











授業が終わり、次は移動だと教科書とノート、筆記具を持ち席を立つ。

杏里はチャイムと同時に目を覚ましたらしくワタワタと準備中だ。



「悠妃。」




呼ばれて振り返ればそこにはナオと柊馬が。

遠足をきに、もっと仲良くなった私たちは移動も一緒だ。

この年頃の男の子は女の子たちと行動するのは嫌なんじゃないか、と思ったけどナオも柊馬も別に気にしていないらしい。

なら私も、と気にしないことにしてる。


まぁ、そんな私たちだから好奇な目で見られるのは必須なんだけど。

それも気にしてない私は本当にフリーダムだね。




「お、お待たせー!」



準備が整ったのか走って駆け寄ってくる杏里と共に四人で教室を出る。

途中の会話はいつも部活のこと。

柊馬はバスケ部でいつもポンポン面白い話をしてくれるから笑いがたえない。


やっぱり人は見た目じゃないね。

だって柊馬は見た目チャラいから部活を真面目にしているとは知らなかったよ。



柊馬の話は先輩や同輩の面白い話から、コーチの失敗談。

どこで手にしているかわからない情報だけど、それが気にならないほど柊馬は話上手だ。
















昼休み、いつものように杏里が私の席にお弁当を置いて一緒に食べる。

時々交換をしながらも、談笑しつつゆっくり食べる。





「最近本当に授業が外国語に聞こえてくる……。」


「……なに言ってんの。」



ちょくちょく寝ている杏里だけど、それでも真面目に受けてない訳ではない。

眠いのを我慢して必死にノートをとってるけど、内容についていけないらしい。




「どこがわかんないの?」


「えっとねー、ここの……」



お行儀悪いけど、机の端にノートを広げ解説をする。

杏里は頭が悪いわけじゃない。

理解が人より少し遅いだけで、ちゃんとゆっくり教えれば理解してくれる。




「……で、こうなるの。どう?」


「おぉ!わかった!!」




さっそくシャーペンを手に取り、私の説明をノートの端に書いている。

少し躓きながらも書き終え、またご飯を再開する。




「それにしても……、悠妃のお弁当って豪華だよねー。」


「まぁ、お母さんの趣味でもあるからかなぁ。」



今日のお弁当は和風ハンバーグをメインに彩り豊かだ。

お母さんは料理が趣味でお弁当にも気合を入れている。

冷凍モノは使いたくない!と何からなにまで最初から。



庭には小さな畑があり、そこで自家菜園をしている。

高知にいた時もしていたから驚きはないけど、庭が大きくなったからか規模が拡大していた。




「あ、そのポテト一口!」


「はいはい、どーぞ。」


「わーい!」



差し出したお弁当からポテトを食べながら杏里はとても幸せそう。

自分の家のお弁当も好きらしいけど、うちの家の料理は別らしい。

それをお母さんに伝えたら少し多めに入れられるようになったから一緒に食べるようにしてくれたのかな。




「うー、美味しい……!」


「うん。」




杏里は本当に子供っぽい。

小学生だって紹介されても納得できるくらい。

まぁついこの間まで小学生だったからそれも変ではないけどね。



下に弟がいるからしっかりしているのかな、なんて思った時期もあったけど。

杏里は結構ボケボケしてる。

あっ!!なんて言ってよく忘れものしてるし、ふぎゃっ!なんて言いつつ何も無いところで躓いたりしてる。


少し天然なのかな、なんて。

私の周りにはいなかった雰囲気をもつ杏里はとても面白く、見てて楽しい。















「今日はここまで!」


「「「「はい、お疲れ様でした!!」」」」




今日も今日とてもダンス部の練習。

あの日の宣言通り私たち一年は基礎練習ばっかりだけど、最初より比べたら楽。

まぁほんの少しだからまだまだだけどね。





「お疲れ様ー、悠妃!」


「うん、お疲れ様。」



部室で着替えてる最中、隣の杏里は疲れを隠せないのかゆったり着替えていた。

それでも私に置いてかれたくないのか、少しスピードを上げていっていた。


別に置いていったりしないからそんなに慌てなくても……なんて思いつつ、部室の鍵を締めるのに先輩が待たれてるんだから、少し急げーなんて思ってる。






部室の前で他の一年生にサヨナラの挨拶をして、先輩方にも挨拶をして。

私たちはいつも通り少し暗くなった帰り道を歩く。



河川敷は街灯に照らされて綺麗で、歩く時は目を奪われてしまう。





「今日もハードだったね。」


「うん、体力は底ついたよね。」



疲れた体をなんとか動かしつつ帰路につく私たちは、お互いを慰める。

今日はどーだった、あーだった、なんて笑いつつハードな練習でみつけた少しの面白いことを話つつ。



こうしてみると、やっぱり青春してるんじゃないかって思う。

あの日誓ったことはちゃんと実行出来てるだろうか。

なんて、少し考えつつもやっぱり実行できてるって思う。



だってあの耳元で聞こえていた砂嵐なんて、全く聞こえない。

このまま青春し続けたいなぁ、なんて。









杏里との帰り道の途中、そんなことを考えてた。

街灯に照らされた河川敷はどこまでも綺麗で、キラキラ光っていた。













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