5話 迷宮クッキング
ーー???ダンジョン、2層にて
『ガサガサ』
「あったあった」
俺はリュックサックの中から、持参した"深層陸牛"を一口台にカットした干し肉を取り出した。
ーーチャット欄ーー
"ほほう、干し肉ですか"
"何作るんだろう"
"もしや、牛丼?"
"いやいや、普通に焼いて食べるもありそうだぞ"
チャット欄では、俺が何を作るかを当てるゲームが開催されている。
正解を言い当ててる人がいるため、コメントしずらいが、今日俺が作るのはそう牛丼である!
『カチャッ』
俺は持ってきたフライパンを程よい火加減の焚き火の上に置いた。
「さてと、こっちのコンロにはっと」
『コトッ』
カセットコンロの方には鍋を置き、そこで味噌汁を作る。
『パチチチチ』
『ボウッ』
「うん、ガスの量も問題なさそうだ」
ここへくる途中で買ってきた長ネギと豆腐で作るスタンダードな味噌汁、正直言ってなんて事のない一品だが、俺の料理配信ではそういったものを作るのが人気らしく、調理時にはチャット欄が大盛り上がりとなる。
ーーチャット欄ーー
"お、渋い味噌汁キタ!"
"なんて事ない味噌汁なんだけど、ダンジョンで作ってるのがいいんだよなぁ"
"おいしそー!"
美味しそうって、まだ作ってないのに気が早いなぁ。
『コトッ』
俺は自作の作業台の上に、木製のまな板を置いた。
「さてとおっさんの迷宮一人飯作りをはじめますか」
ーーチャット欄ーー
"待ってました!"
"このために生きてきました"
"生きる糧"
おいおい、おっさんの一人飯配信を生きる糧にするなよな……。
『トントントン』
俺はさっそく軽快に長ネギを食べやすい大きさに切っていき鍋に入れた。
ーーチャット欄ーー
"いい音だ"
"千川プロは料理配信をする時、まな板近くにカメラを置いてくれるから音もいいんだよなぁ"
"耳が気持ちいい"
なるほどな、皆んなは音も楽しんでいたのか。
確かにまな板の上で食材切る音って気持ちいいかもな。
ーー10分後
『グツグツグツ』
「うんいい感じだな」
『ジュウウウ』
「お、肉の方もいい感じか」
料理開始から10分ほどで、味噌汁と肉が良い感じになってきた。
『ジュウウウ』
よし肉の方はもう火を弱火にして、味付けをしてしまおう。
『ガサゴソ』
俺はリュックサックからマヨネーズを取り出した。
ーーチャット欄ーー
"マヨネーズ?"
"牛肉にマヨネーズとは、ギルティですな千川プロ"
悪いな皆んな、今日だけはコレステロール値を気にしない食生活をさせてくれ。
家では嫁さんの目があるからキツくてな。
『ジュオオオ』
炒めた干し肉にマヨネーズと醤油を加えると、美味しそうな音を立て始めた。
「美味そう、あ、しまったつい言葉が出てしまった」
ーーチャット欄ーー
"わかるわー"
"千川さん、その気持ちわかります"
"自分も食べたいです"
「皆んなも食べたいか、嬉しいよそう言ってくれると」
『プシュッ』
そう言って俺は缶ビールを開けた。
「男の1人飯にはやっぱりこれだよな」
そうして俺は炒めた牛肉をお米の入った丼へと盛り付ける。
「じゃあ皆んな、ご飯の時間にしようか」
『ゴゴゴゴッ』
その時、突如として2階層全体が揺れ始めた。
「な、なんだこれ」
この揺れ、まさか地震か?
でも何かがおかしい、普通の揺れと違う気がする。
『バコッ』
「地面がっ!」
そうして揺れにより割れる地面。
まずい、このままでは。
『ゴゴゴゴゴ』
そしてそのまま地面が沈み始めた。
「ま、まさかこの階層ごと下に落ちているのか!?」




