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43話 春一の奮戦


ーー未開拓ダンジョン80層にて


 「専用技【乱れ喰い】」

 『ズシャシャ』


 春一の放った無数の斬撃が人型モンスターを襲う。


 「マタソレカ」

 『キキキキン』


 人型モンスターはまあ無数の紐状の刃を出して、斬撃を防ぎ切ってしまう。


 「まったくその背中から出ている刃は厄介だね」

 「……オマエ、ジャマ」


 春一の言葉に無機質に返答する人型モンスター。


 「悪いけど、千川さんは追わせないよ」


 そう言って春一は、人型モンスターの前に立ちはだかるのだった。


ーー太一サイド


 「はっはっ、もうすぐ郷士くんのところに着くからな!」

 「うっ、太一先輩ありがとうございます」

 「いいんだよこれくらい」

 「あと、すみません命令に背いてしまって、ひくっ」

  

 そう言って泣き出す安達。

 安達が泣きながら震えているの担ぎながら太一は肌で感じていおり、また同時に悔しさもあった。


 「やめろよ安達、らしねぇぞ」

 「すみません、先輩」


 太一はふと抱えている安達の体を見た。

 幸いにも安達が刺された箇所は全て急所を外れており、出血の多さ以外は大丈夫そうである。

 とはいえ、一刻も早く郷士の元へと届けなければ死んでしまうほどに傷は多かった。


 「太一先輩!」

 「郷士くん!」


 そして太一はついに回復役の郷士の元へと辿り着く。


 『ドサッ』

 「頼むよ郷士くん」


 太一は傷だらけの安達を郷士の目の前に置いた。


 「ひくっ、痛いよぉ郷士ぃ」

 「泣くなよ安達!今助けるから【リミットボーナス】解放、女神の回復術」

 『キュオオオオ』


 そして郷士はさっそく安達の治療を開始した。


 「太一さんは早く前線に戻って下さい、安達は僕が見てるので」

 「助かるよ郷士くん」


 太一はそう言うと、前線にいる春一と美味姫の元に戻っていくのだった。



ーー春一&美味姫サイド


 「専用技"雲斬り"」

 『ズバッ』


 一瞬の隙をつき春一の刃が人型モンスターの右肩を切り裂いた。


 「凄いです!」


 春一の一撃を見て喜びのあまり声が出てしまう美味姫。


ーーチャット欄にて


 "ナイスゥ!"

 "あの青年攻略者も強いよな"

 "流石に死んだか?"

 "あの一撃は勝負アリだろ"


 春一の一撃を見て、勝利を確信するチャット欄。

 しかし切り裂いた当人である春一の表情は暗かった。


 「なんだこの手応え、まるで……」

 『シュルルルル』

 

 春一がそう呟くのとほぼ同タイミングで、人型モンスターの再生が始まった。


 「なっ、こいつ再生能力まであるのか!?」

 「オマエ、ユルサナイ」

 『ギュオッ』


 そうして背中から飛び出す無数の刃が、春一に襲いかかる。


 「春一くん!【リミットボーナス】解放、美食ブラスト!!」

 『ズドォン』


 春一の危機に美味姫は美食ブラストを人型モンスターの背中に放つ。


 「……ヤハリ、アイツガサキカ」


 そう言って人型モンスターは反転して、美味姫の方へと歩き出す。


 「やらせませんよ、専用技"乱れ喰い"」

 『ズシャシャ』

 「ソレハモウキカナイゾ」

 『ズシャ』

 「え?」


 春一の背後に忍び寄せていた紐状の刃が、春一を背中から貫いた。


 「マズハイッピキ」

 「ごはっ」


 そうして春一は口から大量の血を吹くのだった。

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