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39話 安達の提案


ーー未開拓ダンジョン80層、ベースキャンプにて


 「……ダンジョン生活vlogか」


 ルーティン系の動画は確かに人気のあるコンテンツだ。

 しかしダンジョン攻略者の日常を映したものは正直聞いた事がない。

 果たして需要はあるのだろうか。


 「あ、ソロキャン侍!」


 そんな事をぼんやりと考えていると、美味姫さんに見つけられてしまった。


 「美味姫さん、おはようございます」

 「おっはようござます!」


 駆け寄ってきた美味姫さんはそう言って、目元にピースを当てるなんとも可愛らしい挨拶をしてきた。

 この挨拶を大和のやつが見たら喜びそうだな。


 「あの美味姫さん、郷士君から聞いたのですがダンジョン生活vlogわ撮りたいとか?」

 「はい!せっかく攻略者の方々と共にいるので、良い機会だと思いまして!」


 そう話すと美味姫さんは、満面の笑みを浮かべて俺を見てきた。

 良い機会ではあるが、攻略者の日常なんて撮る価値あるだろうか……。


 『ドゴォン』


 その時、近くでバズーカを放つ音が聞こえてきた。

 この音、もしかして……。


 「おお!さっそく事件ですよ!」

 「うーん、事件というかこれは」

 「ささ、爆発のあったところに行ってみましょう!」

 「あ、美味姫さん!」


 美味姫さんはそう言って爆発の聞こえた方へと駆けて行ってしまう。

 はぁ、なんだか面倒な事に巻き込まれてしまったな。


ーーベースキャンプ、村松さんのプレハブ小屋の近くにて


 「うん、良い感じだね」

 「へへ、村松さんの調整のお陰ですよ」


 プレハブ小屋に着くとそこには、バズーカを構える安達とそれをみて頷いている村松さんがいた。


 「なるほど、武器の整備中だったのですね!」

 「うわぁ太一先輩に、美味姫ちゃん!?」

 「おー、太一くん!」


 驚く安達と村松さん。


 「村松さんすみません、邪魔しちゃったのなら帰りますんで」

 「な、何を言ってるんですかソロキャン侍!私と一緒にダンジョン生活vlogを撮ると約束したじゃありませんか!」

 「約束はしてませんよ」

 「くっ、やるなぁ」


 そう言って美味姫さんさ俺をキリッと睨んだ。

 その目、敵に向ける目ですよ美味姫さん。

 

 「ダンジョン生活vlogって、なんだか面白そうな事をやってるね」


 安達はそう言うと、サッとバズーカを肩から下ろし美味姫さんの方へと歩いていく。


 「おお!わかってくれますか安達さん!」

 「わかるっていうか、興味があるって感じかなぁ……今から朝ごはん食べるけど、良かったらその様子を配信してみるとかどうかな?」


 安達はそう美味姫さんに提案した。


 「良いですね!その配信是非ともやりましょう!」

 「了解!ならダンジョン生活vlogの一環として、攻略者の生活ルーティンを映してみようか!」

 「おお!生活ルーティンは良い案です、やりましょー!」

 「おっけー!じゃあ太一先輩、後はよろしくね」


 安達は突如俺の方へと向き、そう言い放ってきた。

 

 「おい、よろしくってなんだよいきなり」

 「何って朝食作りだよ、太一先輩、料理得意じゃん」


 こ、こいつ上手いこと俺はを巻き込んできやがったな。


 「ソロキャン侍、是非ともお願いします!」

 「くっ、美味姫さんまで……わかったよ、やりますよ」

 『やったー!』

 「ただ、メニューは俺が決めますからね」


 そうして俺は、朝食作りのため調理場へと向かうのだった。

 

 

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