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36話 おっさん流の拠点防衛


ーー未開拓ダンジョン80層、ベースキャンプにて


 ハイ・オーク、オークの変異個体であり上位種と位置付けられているそのモンスターは、強さ的にはコマンダーゴブリンと遜色はない。

 しかし今いるのは、俺と春一君の2人だけ。

 なかなかに厳しい局面だが、やれなくはない。

 現役時代もよくこういうイレギュラーはあったし、ここは春一君の根性の見せどころというやつかもな。

 

 「グォォオオ」

 「来ます!」

 「おうよ!【リミットボーナス】解放、"剛拳"」

 「……」


 あれ?俺はスキルを発動したのに春一君が止まったままだ。

 何かあったのか……って、春一君、今戦えなくないか?

 村松さんのところに専用武器置いてあったし。


 「春一君、もしかして……」

 「千川さん、大丈夫です俺にはまだこれがありますから!」

 『ジャキッ』


 そう言って春一君は懐から市販のサバイバルナイフを取り出した。

 いやいや、この子もしかしてそれで戦う気なのか?


 「千川さんは左からお願いします、俺は右から行くので!」

 『シュタッ』


 春一君はそう言うとハイ・オークめがけて突進していった。

 

 「春一君!そのナイフじゃ無茶だ、俺の後ろに隠れててくれ!」

 「【リミットボーナス】解放、"韋駄天"」

 『シュバッ』


 韋駄天を発動させた春一君は、信じられない速度でハイ・オークの左側面に回り込んだ。


 「【リミットボーナス】解放、"万雷"」

 『バチチチ』


 春一君はそのまま雷を纏ったナイフでハイ・オークの左側面に斬りかかる。


 『ズシャッ』

 「ウガァァァ」


 斬り裂いたと同時に叩き込まれる電撃により、大きな声を上げるハイ・オーク。

 す、凄いな春一君、あんなナイフ一本でハイ・オークと渡り合うなんて。


ーーチャット欄にてーー


 "す、すげぇ"

 "立ち回りが完璧すぎる!"

 "若いのに大したもんだなぁ"


 チャット欄でも驚きの声が上がっている。

 そして同接も2500を突破していた。


 「春一君ばっかりに良いカッコはさせられないよな」

 『シュタッ』


 俺はそう呟くとハイ・オークへと向かって走り出した。


 「春一君!そのままハイ・オークの周りを動き回って撹乱してくれ、正面は俺がやるから!」

 「了解です!!」


 コマンダーゴブリンと違いハイ・オークには溝落ち付近に弱点がある。

 専用武器がないこの状況を何とかするには、俺の剛拳をそこに打ち込むしかない。


 「こっちだオーク、万雷!」

 『バチチチ』

 「ウガァァァ!」


 春一君がハイ・オークの周りを走り回り攻撃してくれてるおかげで、良い感じに注意が削がれてる。

 やるなら今しかないな。


 『シュタッ』


 俺は一種の隙をつき、ハイ・オークの懐に入り込んだ。


 「いくぞハイ・オーク、【奥義】デュアル・インパクトぉ!!」

 『バコォン』

 

 全力のデュアル・インパクトがハイ・オークの腹に直撃した。


 『ズドォン』


 そしてハイ・オークはそのまま4、5メートルほど吹き飛んでいった。


 『ブオオン』


 その時、俺の頭上に一機のドローンが現れる。


 「これってもしかして……」


 そう、そのドローンは俺がお昼頃に専用武器を撮りに行かせた機体だった。


 『ストッ』


 ドローンから俺めがけて落とされる段ボール箱。

 

 『パカッ』


 開けるとそこには銀色に輝く俺の専用武器、ガントレットの【一鉄】があった。

 なんつうタイミングだよ本当に。

 

 『ガチャガチャ』


 俺はすぐさまガントレットを両腕に装備した。

 さてとおっさん流の拠点防衛を始めるとしますか。


 

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