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29話 襲来


ーー未開拓ダンジョン、80層ダンジョン遺跡にて



 「よしいいぞ春一君、そのままゴブリンを引き連れて一歩引いてくれ!」

 「了解です!」

 

 俺の掛け声に応じ、春一君はゴブリン5体ほどを引き連れ、俺の小炎弾の射程圏内まで後退した。

 よし、この距離なら。


 「【小炎弾】!」

 『ゴウッ』

 「イギャアア」


 俺の放った小炎弾は、見事にゴブリン達に命中した。


 「ナイスです、千川さん!!」

 『ズバッ』


 小炎弾に怯んだゴブリン達を、春一君がムラクモで一気に切り抜いた。


 「ウギャアア」

 

 まとめて5体ほどやれたのは大きい。

 この調子で倒していけば、それほど時間をかけることなくゴブリン達を始末できるぞ。


 「ファイアー!」

 『ズドォン』


 そのとき、後方で安達のバズーカの音が聞こえた。

 あいつまだ合図はしていないのに、何やってるんだ。


 「おい安達、俺はまだ合図を送ってないぞ!」

 「すみません先輩、なんかワラワラいるんで撃っちゃいました!」


 そう話す安達の前には5、6体のゴブリンが倒れていた。

 まぁこの数をやれたならいいか。


 「今度は俺の合図を待てよ、今回は許す!」

 「あざっす!」


 さてと、安達と春一君はこっちにいるから良いとして大和はどこへ行ったんだ?


 「【奥義】アイスブレイク!!」

 『パキィン』


 そんな事を考えていると目の前で大和専用武器【アイシス・インパクト】により作られた、大きな氷塊が現れる。


 「先輩!!こっちは一気に10体いけました!」

 「よくやった大和!こっちは合わせて11体くらい、これで残りは30体を切ったぞ!」

 「はい先輩、残りもサクッと討伐しちゃいましょう!」

 「おう!」


 順調だ。

 この上なく順調。

 良い事なんだけど、何かが引っ掛かる。

 軍隊ゴブリンってこんなモブばかりの集団だったか?

 リーダー格のコマンダーゴブリンとかいたような気がするんだよなぁ。


 「グォォオオ!!」


 そのとき、軍隊ゴブリンの奥から大きくて威圧的な鳴き声が聞こえた。

 ま、まさかあれって。


 「先輩!コマンダーです、コマンダーゴブリンがでました!」

 

 少しばかり先行していた大和は、俺達よりも早くコマンダーゴブリンを視認しそう叫んだ。

 やっぱりいたか。

 コマンダーゴブリン、体長は3メートルほどもあり、軍隊ゴブリンのボスのような奴で俊敏性や攻撃力が桁違いに高いゴブリンの変異種である。

 まずいな、上手くいっていたこの状況を覆せる戦力にコマンダーゴブリンはなり得てしまう。

 なにか手を考えないと。


ーーチャット欄にてーー


 "こ、コマンダーゴブリン?"

 "き、聞いた事ないぞ"

 "多分、俺らが知ってるようなダンジョン配信者がいるような階層には絶対いない奴だよな"

 "千川氏……私も今行きます!"


 「グォォオオ!!」

 「先輩来ます!」

 「わかった!大和は後退しろ、安達!コマンダーゴブリンが見えたらバズーカぶっ放せ!」

 「了解!」

 「千川さん、俺はどうすればいいです?」

 「春一君は待機だ!コマンダーの相手は俺がやるから、ベースキャンプへ皆んなは撤退してくれ」

 「1人でやるつもりですか!?」

 「それしかない!下手をすれば全滅もあり得るんだぞ!」

 「千川さん……」


ーーチャット欄にてーー

 

 "お、おっさん……"

 "コマンダーゴブリンってそんなヤバい奴なん?"

 "調べたけど、本来はSランク攻略者3名以上で討伐するらしいよ"

 "つ、強すぎるだろ"


 どうやらチャット欄に有識者がいるらしいな。

 だがその通り、本来コマンダーゴブリンはそのダンジョンの中ボス的な立ち位置で、Sランク攻略者複数名やパーティーメンバー全員で相手にするようなモンスター。

 専用武器のない俺や安達がいる現状では、まず間違いなく討伐はできない。

 ここは年長者の俺が犠牲になるしか……。


 「皆さん、伏せてください!!」

 「え、一体なんだ?」


 声のする方へと振り返ると巨大なスナイパーライフルを構える丹波さんの姿があった。

 

 「専用武器【アルテミス】解放」

 「お、舞がきたか!てことはつまり……」

 「遅くなりました皆さん!」


 そう言って丹波さんの背後から郷士君たち大和小隊の面々が現れる。


 「よっしゃ私の小隊が全員揃ったぞ!」


 大和小隊の全員がこのダンジョン遺跡に集まってくるのだった。



 

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