27話 終結!大和小隊
ーー未開拓ダンジョン、80層にて
今だ!
『ヒョイッ』
俺は向かってくる砲弾とレーザー紙一重で躱した。
『ズドォン』
「イギャァァ」
そして砲弾とレーザーは読み通り引きつけたゴブリンどもへと命中した。
「グギャァァ」
「キィェェ」
断末魔をあげて倒れていくゴブリン達。
1、2、3……7体、よしここに来ていたゴブリンは全員今ので始末できたっぽいな。
ーーチャット欄にてーー
"す、すげぇ倒しちまったぞ"
"美味姫ナイスー!"
"あのおっさん躱すの上手いな"
"あの絶望的な状況から助かるとはな"
「いえーい太一先輩!いえーい!」
そう言ってハイタッチを求めてくる安達。
こいつ今年26だってのに、ノリが大学生のままだな。
「い、いえーい」
『パンッ』
気乗りはしないが、やらないのも悪いので当たり障りのないテンションで俺は安達とハイタッチをした。
「さぁ美味姫ちゃんも、いえーい!」
「いえーい!!」
『パンッ』
ノリノリで安達のハイタッチに応じる現役女子大生の美味姫さん。
もしかして若い奴ほどあのノリについていけるのかな
まさかそんな事で自分の年齢の高さを痛感させられるとは……恐るべき安達のノリ。
『シュルルル』
その時、ロープからまた誰かが降りてくる音がした。
『スタッ』
「やぁ皆んな、遅れてしまい申し訳ない」
現れたのは他の面子とは比較にならないほどの高齢の男性だった。
あの物腰の低そうな感じ、間違いない村松さんだ。
「村じい!遅いよー」
「すまんな安達くん、階層個体に手間取ってしまってな」
「村松さん!」
「お、その大柄な体躯はもしかして千川くんか!」
「はい、お久しぶりです」
「いやはや、まさかこんなところで思わぬ人物に再会するとは」
『シュルルル』
そしてロープから、さらに3人の人物が降りて来た。
「紹介するよ千川くん、私の今の仲間で大和小隊のメンバーだ」
そう言って村松さんは降りて来た3人の女性攻略者の紹介を始めた。
「まずこの黒髪ショートの子が、攻撃役の丹波舞ちゃん」
「よろしくお願いします千川さん、お噂はよく大和さんや村松さんから聞いてます」
『スッ』
丹波さんは軽くそう話すと右手を出してきた。
噂ってどんなこと話してるんだろう。
気になるな。
『ガシッ』
「千川ですよろしくお願いします」
「続いて、この身長のちっこいのが三嶋渚ちゃんで、うちの小隊の索敵役さ」
「三嶋です、よろしくお願いします!」
「うん、よろしくね」
「千川くん、渚ちゃんはね今年20歳になったばかりなんだよ」
「え、20歳ですか若いですね」
20歳か、見た感じ身長は145センチほど。
正直この子は、高校生や中学生でもワンチャンいけそうだな。
「そんで最後のこの子が、我が正体の副指揮官兼回復役の八木志帆ちゃん」
村松さんはそう言って、黒髪ロングの大人びた子を俺に紹介してくれた。
落ち着きのある雰囲気に、しっかりしてそうな感じもしてるし、この子が副指揮官なのは納得できるな。
「千川です、よろしくお願いします八木さん」
「……よ、よろしくお願いします……千川氏」
「え、千川氏?」
「なな、なんでもありません!」
そうして八木さんは顔を真っ赤にして、どこかへ走って行ってしまった。
「あ、八木ちゃんどこいくの!すまんは千川くん、普段は良い子なんだが」
「いえいえ大丈夫です、俺が何か驚かせることをしたのかもしれないし」
……千川氏、あの子俺のことそう呼んでたよな、でもあの呼び名って。
俺の配信の視聴者しか使わない気がするんだが、もしかして八木さんって俺の視聴者なのか?
「では大和小隊全員が集まったので、指揮官の大和さんの所へ向かうとしましょうか」
「賛成です村松さん、俺も早く大和さんと合流したいです」
村松さんの掛け声にそう答える郷士君。
村松さんは罠役、郷士君は回復役のだったよな。
なら大和のところへ行ってもらうより、セーフティーツリーに行ってベースキャンプを作ってもらう方がありがたいよな。
「村松さん、郷士君も大和のところへは俺と安達で向かうので、2人は美味姫さんや他の隊員の方々を連れてセーフティーツリーへ向かってください」
「なんと!この近くにセーフティーツリーがあるのですか!」
「はいあります、でもそうか道案内がないとわからないよな……」
「ソロキャン侍、その役目私がやりますよ」
「え、美味姫さんが?」
「はい!私がこのおじさん達を巨大テントまで案内します!」
「お、おじさん……」
唐突に美味姫さんからおじさん呼びをされた村松さんは、気まずそうにそう呟く。
村松さん50歳はもうおじさんですよ、仕方ないです。
「ありがとう美味姫さん、ではよろしく頼みます!」
「ちょっと待ってくださいソロキャン侍、道案内はしますが、私も貴方にお願いがあります」
『ガサガサ』
そう言って美味姫さんは持っていた鞄を漁り始める。
「これどうぞ!」
『スッ』
「これって……GoPro?」
「はい!これで戦闘の様子の撮影をお願いします!」
「撮影ですか?」
「はい!よろしく頼みます」
「は、はぁ」
そうして俺は、大和や春一君のいる最前線の様子を美味姫さんの配信に載せるためのカメラマンをする事になるのだった。




