23話 ダンジョン遺跡配信
ーー未開拓ダンジョン、80層"未知の遺跡にて"
『ガシャ』
「うわぁ、壁が崩れてますぅ」
「気を付けてください美味姫さん」
「は、はぃぃ」
そう言って美味姫さんは俺の後ろにピタッとくっついた。
「あー!また先輩が美味姫さんとイチャついてるー!奥さんに言ってやろうかなぁ!」
「よせ大和、別にイチャついてなんか……」
「大丈夫っすよ千川さん、大和さんが変な事言っても俺が訂正するんで」
「は、春一くん……」
春一くんはそう言って俺の肩を優しく叩いてくれた。
「おい春一!お前どっちの味方なんだよ」
「俺は中立ですよ大和さん」
その問いに春一君は笑顔でそう返したが、大和に見えないよう背中で隠しながら、俺にピースサインをしてくれた。
なんだろ、おっさんの直感だけどこの子モテそうだな。
「けっ、つまんねぇ答えだなそりゃあ」
そう言って大和は、遺跡の奥へと進んでいった。
「あ、そうだ!すみませんソロキャン侍、それに春一君、配信ってしても構いませんか?」
「え、配信?」
美味姫さんの口から配信というワードが出ると、春一君は驚いているようなリアクションをとった。
もしかして春一君、美味姫さんが配信者なの知らないのか。
ていうかサラッと美味姫さん春一君呼びしてるな。
「はい!私は配信業で生計を立ててるので、こういう普段立ち入れない場所とかの配信って、数字が伸びるんです!」
「ほ、ほう……(チラッ)」
微妙な反応を見せた春一君は、俺の方へ"許可して大丈夫ですか?"みたいな視線を向けてきた。
悪いな春一君、俺も配信者だから美味姫さんの味方なんだよね。
もっと言えば大和も美味姫さんの味方なわけだから、君以外誰も反対しないんだよ。
「いいですね!ぜひやりましょう、さっきは俺のチャンネル出てくれたので、今度は俺が美味姫さんこチャンネルでますよ」
「わーい、やりました!」
美味姫さんは、許可が降りたことに喜びガッツポーズをした。
「え、なになに配信!わぁい、美味姫ちゃんの生配信見れるなんて幸せだあ!!」
配信する事を察知した大和は、美味姫さんと同様にガッツポーズをして喜びを露わにした。
「そ、そんなに喜ぶ事なんですね」
「まぁ美味姫さんは人気ですから」
「へぇそうなんですね、私は普段ゲーム系の動画しか見ないので知りませんでしたよ、登録者は何人くらいなんですか?」
「100万人です」
「ひゃ、100万人!?」
美味姫さんの登録者数を聞いた春一君は、驚きのあまり後ろに飛び退いてしまう。
まぁ隣に登録者100万人の人がいたらそうなるよね。
「では、配信始めます!」
「え、もうやるんですか!」
「はい!配信は鮮度が命なので!」
「せ、鮮度!?」
美味姫さんの言葉にまたもや驚かされる春一君。
「あ、ソロキャン侍、これをお願いします」
『スッ』
美味姫さんはそう言うと俺にハンディカメラと自身のスマホを渡して来た。
「カメラマンですね、了解です」
「はい、お願いします、あと同接とチャット欄の確認もお願いしますね」
「了解です!」
カメラを受け取った俺はそのまま、撮影を開始した。
「それでは配信スタートします!」
『ポチ』
そうして美味姫さんの配信が始まった。
「皆様こんばんは~!」
ーーチャット欄ーー
"こんばんはー!"
"ちわすー"
"おいっすー!"
"夜の配信、助かります"
さすがは美味姫さん、一瞬にして同接が1万人を超えたな。
今回配信しているプラットフォームは、ツイチューブではなく、ヨイッチと呼ばれる海外の配信者も御用達のサイトである。
「ではでは皆様、今日の配信はいつものASMRとは一味違います!なんと今日はダンジョンの謎の遺跡を探検します!」
ーーチャット欄ーー
"な、謎の遺跡だって!?"
"神枠かもだぞ"
"なんか美味姫さんの近くに強そうな人達がいるな"
"もしかして攻略者か?"
盛り上がるチャット欄。
同接は2万人を軽く超えていく。
さて、ノリで配信始めちゃったけど美味姫さんは一体、何をするつもりなんだろうか。




