19話 攻略に向けて
ーー未開拓ダンジョン、25層にて
『パシャパシャ』
「くぅ、生美味姫最高ー!激カワすぎる~」
「お、おい大和、盗撮だぞ」
「やだな先輩、あとでもちろんお金払いますよ、ほれ」
そう言って大和はポケットの中から、そこそこ太い札束を取り出し、俺にチラつかせてきた。
「金を払えば良いというもんじゃないだろ」
「いえ、全然良いですよ」
「なっ、美味姫さんっ!」
大和とそんな感じで話していたら、眠る美味姫が起きてしまった。
まずい、うるさかったかな。
「基本的に、この配信業をすると決めてから私の身体は商品だと思ってきました、故に写真の1枚や2枚でガタガタいいませんよ」
そう言って美味姫さんは、大和の向けるカメラにピースをし始める。
「お!ノリがいいね美味姫ちゃん」
「ノリが良くなくては配信者は務まりません、当然なのです!」
『シュバッ』
美味姫さんはそう話すとダブルピースをカメラへ向けた。
「いいよー!いいよー美味姫ちゃーん!」
『パシャパシャ』
そう言って大和は、一眼レフで美味姫さんを撮りまくり始める。
まったく、こいつはここに一体何しに来たんだか。
ーー10分後
「ふぅ、いっぱい撮れたー!」
『ゴソッ』
そう言って大和は一眼レフをバックにしまう。
「お疲れ様です美味姫さん」
そう言って俺は美味姫さんに、出来立てのコーヒーを渡した。
「ありがとうございます、ソロキャン侍」
「熱いので気をつけて下さいね」
「はい!」
『ズズズッ』
「大和、ちょっといいか?」
「なんスか?」
「今後についての話がしたくてな」
俺がそう話すと大和はニヤッと笑った。
「ふふ、いいっすね先輩、攻略者時代の時と同じ顔してますよ今」
「はは、そうかもな……それで大和よ今回の攻略チームはどういう編成なんだ?」
「……私を入れて8人編成で来てます、回復役2人、攻撃役3人、罠役1人、索敵役1人、そして指揮官の私って感じです」
「結構ガチガチだな」
「まぁそうっスね、なんせ一般人2人が未開拓ダンジョンで遭難って事になってますから」
「ふふ、“一般人”ね、それで大和よ他のメンバーはどうしたんだ?」
「他のメンバーは今23層にいます、私だけ先行してここへ来たって感じです」
「なるほど」
攻略チームの人数を見るに、このダンジョンの攻略ってよりも今回は俺たちの救出とあわよくば、ベースキャンプ作りが出来たら上等って感じだな。
「てなわけで先輩、さっそく23層に移動しましょうか」
「おう!」
そうして俺達は上層階へ行くため、荷物をまとめ始める。
『ガサゴソ』
「……」
俺がGoProやら撮影機材やらを片付けていると、大和がこちらを不思議そうに見てきた。
「なんだよ、どうかしたのか?」
「い、いやぁ、先輩本当に配信者やってるんだなぁと思って」
「やってるよそりゃ」
「昔を知ってる身からすると、結構新鮮なんスよね」
大和は照れくさそうに頭を掻きながらそう話す。
「確かにそうかもな、昔の俺はダンジョン攻略一筋だったもんな」
「そうそう、家にも帰らずダンジョンばっかり行ってましたもんね、それが今じゃソロキャン好きのおっさん配信者になってしまうとは」
「おいおい舐めんなよ、これでも一応登録者7万ーー」
『ゴゴゴ』
その時、ダンジョンが激しく揺れ始めた。
この揺れ、まさか!
「階層変動っすね先輩」
『スッ』
大和は真剣な面持ちでそう話すと、ポケットから素早くトラッカーを取り出し電源を入れる。
「お、おうそうだな、美味姫さん!」
「はい!」
「危ないので俺と大和から離れないで下さいね」
「りょ、了解ですぅ!」
そう言って美味姫さんは俺の服の端をちょこんと掴んだ。
「あー!!先輩いいなぁ!」
その様子を見ていた大和が悔しそうにそう叫ぶ。
「馬鹿野郎!そんなこと言ってる場合か!集中しろ大和」
「へいへーい」
『ゴゴゴゴゴ』
さてさてお次は一体何層と入れ替わるんだか。
上層階と入れ替われたら美味姫さんを返しやすくなるから色々楽なんだけど、果たしてどうなる事やら。




