17話 攻略者
ーー未開拓ダンジョン、25層にて
谷風大和。
俺の攻略者時代の後輩であり、現在Sランクの上位攻略者である。
大和の助けがあれば、美味姫さんをこのダンジョンから安全に脱出させる事ができるはずだろうし、ここは連絡をとってみるか。
そう思った俺はスマホを開き、ショートメッセージを大和に送った。
ーー メッセージ欄ーー
ーうっす大和!
ー先輩~!どもどもっす!
ーなぁ大和、突然で悪いんだけど助けに来てもらえない?
ーなんすかそれ、先輩強いんだし大丈夫でしょ
ーいや、それが今連れがいてさ
ーえ、もしかして美味姫ちゃんスか?
ーそうそう!いやぁ、実は俺たち未開拓ダンジョンに間違って入っちゃってさ
ー行きます!
ーえ?
ー今すぐ行きます!
ーお、おう
ー場所を教えてください!
こ、こいつ俺だけなら出れるだろと言ってきたくせに、美味姫さんの名前出した途端態度が変わりやがった。
まぁ助けに来てくれるならなんでもいいか。
そして俺は大和にこのダンジョンの座標を送った。
ーではすぐ行くんで、待っててください!
ーおう、頼んだよ
ふぅ、これで一先ずは安心って感じだな。
さて配信の方はどうなったかな。
『カラッ』
美味姫さんの方を見ると、空になった土鍋が彼女の目の前にあった。
凄いな美味姫さん、あの量の炊き込みご飯をもう平らげているのか。
さすがは大食い系配信者だ……。
「それでは皆さん、またの配信でお会いしましょうね!」
ーー チャット欄ーー
“バイバイ美味姫ー!”
“今日もおいしそうに食べてて良いなぁと思いました!”
“この配信、千川丸さんの配信なんじゃ……”
「バイバーイ」
『ブチ』
そう言って美味姫さんはそのまま配信を切ってしまった。
お、俺の配信を勝手に切りやがった、これが大物配信者か。
「あ、ソロキャン侍!」
「美味姫さん」
「すみません!勝手に配信終わらせちゃいました!」
「いえいえ大丈夫です、それより朗報です」
「ほほう、朗報ですか」
「ええ、知り合いの攻略者と連絡が取れました、助けに来てくれるそうです」
「おお!ありがたいです!」
まぁ大和のやつは主に美味姫さんを助けたくて来るつもりだろうけどね。
とりあえず俺は、大和と合流するまで美味姫さんを守らないとな。
1番気をつけないといけないのは階層変動だ、あれが起きたら大変なことになる。
「多分、1時間もすれば来てくれると思うのでそれまで安全なところで休んでましょうか」
「賛成です!」
そう言って俺と美味姫さんはダンジョン内の安全なところを探すべく歩き始める。
ダンジョン内における安全な場所といえば……そう”セーフティーツリー”だ。
セーフティーツリーとは、ダンジョンの各階層ごとに生えている大きな杉の木のようなもので、その木の放つ不思議な匂いのお陰で周囲にモンスターが近づかないため、ダンジョン内における安全地帯として、教科書にも載るレベルで有名である。
「さてこの階層のセーフティーツリーはどこかな……」
「あ!見てくださいソロキャン侍、あれを!」
「凄い倒置法ですね、あ、あれは!」
美味姫さんの指差す方向には、白い杉の木のようなものが生えていた。
こんなに早く見つかるとは。
「ダンジョンツリーですね!」
「違います、セーフティーツリーです」
美味姫さんの盛大な言い間違いを正し、俺たちはツリーへ歩いて行くのだった。




