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16話 炊き込みご飯


ーー未開拓ダンジョン、25層にて


 『パツンパツン』

 

 明りダケは硬いが切れないほどではない。

 あと、この硬さも炊き込みご飯にしたら良い歯応えになる気がする。


 「うん、いい感じだな」


 土鍋の中に米1合と明かりダケ二つ、あとは持参した鶏肉をいれ水を注ぐ、あとは味付けに醤油とみりんを適量加えて蓋をする。


 『パキキキ』


 焚き火を使って炊いてみよう、その方が配信映えすると思うし。

 

 『ゴトッ』


 そうして俺は土鍋を焚き火の上に乗せる。


ーーチャット欄ーー


 "美味そう"

 "なるほど炊き込みご飯か"

 "美味姫と一緒に配信してる人、名前なんて言うんですか?"

 "ソロキャン侍千川丸です!"

 "ていうかこれ、千川丸さんの配信なんですけどね"


 良かった、炊き込みご飯好評みたいだ。

 作ってる映像は頭につけてるGoProで撮影してたので、視聴者の人達に上手くその映像が伝わってるといいな。


 『モキュモキュ』

 「うーん、美味しい」


 俺が炊き込みご飯を作っていると、美味姫さんがその横で先ほど作った明かりダケの炒め物を美味しそうに食べていた。

 美味しそうに食べてるけど、毒入りなんだよなぁ。


 「さぁ、皆んなも私の食べてる音を聞いて配信を楽しでくだされ!」

 

 そう言って美味姫さんは、口元にピンマイクを持っていった。


 『モキュモキュ』

 『シャムシャム』


ーーチャット欄ーー


 "うーん、良い音"

 "普段千川丸さんの配信で聞くことない音がしてますな"

 "これがコラボ配信か"

 "美味姫最高~!"


 チャット欄には俺の視聴者さんと美味姫さんの視聴者さんがいるから、コメントがバラバラに分かれてて面白いな。

 えーっと、同接は2.5万人か。

 当たり前だけど過去最高値だな。


ーー30分後


 『プススス』

 「うん、いい感じだ完成したかな」


 土鍋の隙間から白い煙がプスプスと上がり始め、米が炊けたのを知らせてくれていた。


 「完成しましたか!」

 「はい、今そっちに持って行きますね」


 俺が土鍋で米を炊いている間、美味姫さんはその軽妙なトークで場を繋いでいてくれた。

 さすがは人気配信者、俺も隣で聞いてたけどトークも面白いな。

 今度、雑談のコツとか教えてもらおう。


 『パカッ』

 「うわぁ、美味しそう~!」


 土鍋の蓋を開くと出汁色の煙がモワァと立ち込め、きのこの良い匂いが優しく鼻の中に入ってきた。

 う、美味そう匂いがする……毒物なのに。


ーーチャット欄ーー


 "うわぁ美味そう"

 "ダンジョンで食べる炊き込みご飯とか、ロケーション神すぎるよ"

 "ソロキャン侍登録しようかな"

 "ぜひおすすめです!"




 おいおい、なんだよこれがコラボの恩恵ってやつか。

 俺のチャンネルの登録者がガンガン増えていってるじゃん。

 最初、コラボ配信を始める前は5.5万人くらいだったのにもう7万人なってる。

 100万人登録者恐るべし。


 『ビビッ』

 「ん、なんだ?」


 その時、俺のスマホに一件のメッセージが届いた。


 「あ、大和じゃん」


 大和とは攻略者時代の後輩であり、俺がダンジョン配信をしていることを知っている人物でもある。

 アイツ……俺の配信観て連絡してきたな。

 でも待てよ、ちょうどいいぞこれは。

 未開拓ダンジョンにいる事、大和に伝えてみるか。

 そうして俺は大和からのメッセージを開くのだった。

 

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