14話 お料理配信
ーー未開拓ダンジョン、25層にて
「えっと、それじゃあ今日は美味姫さんをゲストに迎えています」
「どもどもみんなー!よろしくねー!!」
ーーチャット欄ーー
"ほ、本物だ!"
"凄いな千川プロ"
"ついに千川プロが大手とコラボするなんて"
"おめでとう、千川プロ!"
「あ、ありがとう皆んな」
ダンジョン配信をはじめて2年。
ソロキャン侍千川丸の初めての人気配信者とのコラボにチャット欄は沸いていた。
現在の同接2500人。
「まぁ喜びはその辺にしてください同志よ、配信を始めましょう」
「う、うんそうだね」
美味姫にそう言われた太一は、美味姫から明かりダケを受け取ると持参したまな板の上に明かりダケを置いた。
「さぁて皆の者、今日のコラボ配信のテーマはゲテモノお料理配信じゃ!」
ーーチャット欄ーー
"げ、ゲテモノお料理配信だと!"
"千川プロが作れば美味しくなる気がする!"
"なるほど、料理は千川さんが作って食べるのは美味姫がやる感じか"
「そうそうそんな感じ、とりあえず明かりダケ焼いてみるね」
チャット欄にそう言うと太一は、明かりダケの軸の部分を切り調理を開始する。
『パツン』
「結構硬いんだな」
明かりダケの軸は、普通のきのこよりも硬くその硬度は木くらいある。
「さてさてダンジョン侍よ、今日は何を作ってくれるのかな?」
「何品か作ろうかなと考えてますが、とりあえず焼いてみようかなと思います」
「おお、焼ききのこか!私結構好きだよ!」
「そ、そうですか」
ちょいちょい素が出る美味姫に困惑しつつも、太一は料理を進めていく。
『ジュウウウ』
「美味姫さん!無難に塩味でいいですよね?」
「構いません!私はなんでも食べますから!」
「りょ、了解です……」
美味姫の言う何でもとは、文字通り何でも何だろうなぁと太一は思いつつ、明かりダケを炒める。
ーーチャット欄ーー
"美味しそう!"
"さすがは千川プロ、見事な鍋捌きですな"
"美味姫可愛い"
"まさに異食コラボ"
チャット欄には太一の料理をしている様子に満足そうにするコメントと、太一の配信で見る事のない人気配信者"美味姫"に対するコメントで溢れていた。
「じゃあ一品目いきますね」
「はい、お願いします!」
太一は出来上がった焼き明かりダケに塩を一振りかける。
『ゴトッ』
「さぁどうぞ召し上がれ」
「おお、これはなんとシンプルな出来栄えでしょう、しかしシンプルながらに感じるプロの腕!さすがですねソロキャン侍」
「い、いや、普通に焼いただけなんだけど……」
太一は美味姫の過剰気味な食レポを見て、静かにそう呟く。
『パクッ』
「んー、美味しいです!」
「本当ですか!それは嬉しいです」
「焼き加減がとてもサイコーです」
「表面が硬いので火の通り悪いかなと思ったんですけど、意外と通りが良くてそんなに焼かずに済みました」
「な、なるほど……」
千川のその言葉に感心した様子の美味姫。
実は彼女、大食い系ASMR系配信者なのだが、自分でご飯が作れない。
故に料理の話をする太一の言葉をあまり理解していない。
「あ、そういえばコレもどうぞ」
『コトッ』
そう言って太一は美味姫の近くに小さな小瓶を置いた。
「何ですかこれ?」
「それは七味です」
「七味!!」
「焼いたキノコに合うかなと思いまして」
「サイコーです、かけまくりますね」
『カパッ』
そう言って美味姫は七味の蓋を外した。
「え、ちょ、何蓋取ってるんですか?」
「こうするために決まってるじゃないですかー!!」
『シャー』
そう言って美味姫は蓋を開けた七味を豪快に焼き明かりダケにかけはじめるのだ




